乗り物ビジネス①概論編

仕事内容

どうも、ドチです🐱

シリーズで解説する、総合商社の手がける代表的なビジネス紹介記事です。

今回は、第八回「乗り物ビジネス」の①概論編について説明します🚗🚆✈️

商社の乗り物関連のビジネスで皆さんが想像するのは、三菱商事の三菱自動車(20年4-6月期で過去最大の赤字を出し、同社を関連会社とする三菱商事も連結Pick upで▲145億円の損失を出しましたね💦)であったり、住友商事の航空機リース事業等の有名どころだと思います。

他方、

「え!?こんなに色々やってんの!?」

という様なビジネスモデルもあり、本日はそういったモノも含め、商社の乗り物ビジネスについて解説していきます。

目次:総合商社の乗り物ビジネスのビジネスモデル

  1. 乗用車・商用車・建設重機等
  2. 鉄道関連
  3. 航空機関連

尚、各カテゴリーにおいては「製造設備・部品の輸出入」といった、The商社の物流事業以外をご紹介します。

1. 乗用車・商用車・建設重機等🚗🚜

①自動車メーカーとの共同ディーラー型

自動車メーカーと共同で出資をし、海外でディーラー業(メーカー名を付けて営業することを許されて販売すること)を行なっています。

例を挙げれば、三井物産トヨタ自動車とフィリピン🇵🇭でレクサスの販売会社に25%出資し、カネのみならずヒトを送り込み経営に関与しています。収益はディーラー事業益の持分取込(簡単に言えば、この場合、レクサス販売会社の税後利益の25%が三井物産の連結利益に入る)ですね💰

②建設重機販売代理店型

建設重機(=建機。インフラの建設や鉱山開発に使われる大型ダンプトラック、フォークリフト等)を、メーカーの代理で商品を顧客に販売するビジネス形態です。基本的には、口銭(こうせん=コミッション)を、「売上 x 数%」程度、メーカーよりもらう感じのビジネスモデルです。

総合商社の中では、住友商事が規模的に最大で、コマツ等の建機販売代理店を色々な国で開いています🏢メーカーが商社を使って代理販売する背景は、①その国での商売における知見がない(会計、税務等)、②政情不安等のカントリーリスクが顕在化した時に対応出来ない(政府とのパイプがない)、③商社は資源開発にも参画しており、ある意味「お客さん」である(要は、「資源開発プロジェクトに建機購入するから、この国の他需要家向けで販売権下さい」的な)、等があります。

③メーカー本体への経営参画型

メーカー本体へ出資参画し、経営に関与する形態です。

冒頭にも述べた様な、三菱商事による三菱自動車への出資(株式保有率20.02%。日産に次ぐ第2位の大株主)であったり、伊藤忠商事によるいすゞ自動車への出資(株式保有率7.17%。三菱商事、日本マスタートラスト信託に次ぐ第3位の大株主)等があります。収益は、各自動車会社の事業益の持分取込、もしくは配当(出資比率が小さい and/or 経営に関する支配力が小さい場合)ですね💰

三菱商事や伊藤忠商事のHPをご覧になれば分かりますが、それぞれ、いすゞ事業本部/三菱、いすゞモビリティ部/伊藤忠という名の専門組織があり、いすゞ自動車の価値向上に向け、あらゆる支援を行なっています。

尚、三菱自動車の4-6月期四半期決算では、2020年度は通年で▲3,600億円もの純損失を出す見通しとなっており、これだけで同年度の三菱商事通期決算では持分取込で約▲720億円の損失を出すことが見込まれています。デカいですねぇ・・・💦

2. 鉄道関連🚈

①機関車・貨車リース型

機関車および貨車(←簡単に言えば、貨物列車の、牽引する先頭の車両が機関車、それ以外の荷物を積載する車両を貨車と言う)を、資産とし保有し、政府機関や民間企業へリースをするビジネス形態です。リース料という形で収益を上げます。

三井物産がブラジル🇧🇷や欧州💶でこの様な形態のビジネスを行なっています。2018年には、世界的に有名なドイツの機関車メーカーであるSiemens社と共に、機関車保守ワークショップ事業(要は、リースのみならず、その後のメンテも行なうことで更に稼出いく、ということ)を行なうことを発表しています。

②EPCプロジェクト型

その国での鉄道敷設において、設計(Engineering)から調達(Procurement)、建設(Construction)まで一手に引き受ける形態のことをEPCと呼びます。簡単に言えば、鉄道敷設に関わるEPCのコスト + 利益で応札し、無事落札出来、受注者となれば、「落札額 – 総コスト」分の利益を手に入れることができます💰

もちろん、商社単独で応札することはほとんどなく、大体は日本や現地の鉄道会社とパートナーシップを組みます🤝

住友商事がフィリピン🇵🇭の首都マニラで、高架都市鉄道(LRT)3号線でEPCプロジェクトを成功させ、2000年7月に開業。以来、10年間にわたり、メンテナンスサービスも継続。おそらく、そういう実績も加味され、20年5月には、LRT1号線の運営・保守事業を行なうLRMC社への出資参画(株式約19.2%)が決定したことをプレスリリースしています📄

まさに、「国のインフラを創る🔥」というロマンある仕事ですよね✨

3. 航空機関連🛩

①航空機代理販売・リース型

米ボーイングといった航空機メーカーと代理販売契約を結び、代理販売を行なう、もしくは買い上げてしまい、民間エアライン向けにリースを行なうというビジネスモデル✈️

総合商社では、双日がボーイング社と強いパイプを持っており、国内民間航空機代理店事業での豊富な実績を有しています。

ちなみに、、「商社 航空機」で検索すると、未だに丸紅ロッキード事件が出てきますね。。1970年代後半、米航空機メーカーのロッキード社(現ロッキード・マーティン)の輸入代理店として、民間機、軍用機を数多く取り扱うも、政治家との癒着で逮捕者が出てしまった事件ですね。

②空港運営事業型

旅客ターミナルビルの運営から、滑走路や誘導路のメンテナンス、テナントや航空会社への営業等を行なう空港運営会社への出資参画というビジネスモデルです。

三菱商事は2015年から空港運営の民営化ビジネスに参画しており、福岡エアポートホールディングスや、シンガポール🇸🇬のチャンギ国際空港運営者であるChangi Airports International Pte. Ltd.、福岡県らと共同出資し運営しています。

やはり、航空機メーカーの販売代理店という立場からは事業の拡張性がない為、培った様々な知見を活かし、Jumpして業態を広げていった訳ですね✨

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いかがでしたでしょうか❓今回も自身に知見がほとんどない分野でしたので、色々なビジネスモデルがあるのだなぁと新たな発見が多かったですね💦

次回は、乗り物ビジネスに携わる社員が、具体的にどういうスケジュールでどういう仕事をしているのかにフォーカスしてお話します。

何か質問がある方はお問い合わせフォームor Twitter🐦よりご連絡を❗️

最後に。

明日から東京も少しずつ暑さも落ち着き始めるっぽいっすね🐱💦