鉄鋼製品ビジネス①概論編

仕事内容

どうも、ドチです🐱

シリーズで解説する、総合商社の手がける代表的なビジネス紹介記事です。

今回は、第九回「鉄鋼製品ビジネス」の①概論編について説明します🚗🚆✈️

シリーズ第二回では「金属資源ビジネス」として、金属のバリューチェーンの上流部分に絞ったお話をしましたが、今回は、代表的な金属である鉄の、下流でのビジネスがどういうものかを解説させて頂きます。

目次

  1. 鉄鋼製品ビジネスとは?
  2. 鉄鋼製品業界における各商社の体制は?
  3. 将来の業界の動きは?

1. 鉄鋼製品ビジネスとは?

冒頭でも少し触れた通り、鉄のバリューチェーン(鉄鉱石→銑鉄→鋼→鉄鋼製品)での下流部分である鋼→製品の過程や、製品の販売でお金を儲ける営みのことです。

もう少し理解しやすくすべく、以下の通り順を追って説明します。

①鉄が出来るまでの流れ

まず、海外で権益を持つ商社より、製鉄会社(日本製鉄JFEスチール)が鉄鉱石を購入し、原料炭と併せ高炉(鉱石を熱処理して、鉄を取り出すための炉)に投入します。

高炉で作られた銑鉄(鉄に炭素が一定の割合で入り混じったもの)を転炉に入れ、鋼(鉄に2%以下の炭素が入った合金)を作ります。その後、鋳造プロセスを経て、最終製品の形状に合わせた半製品を製造します。

半製品(ビレット)

半製品を加工し、最終的に下図の様な製品に仕上がります。

最終製品(鋼管=パイプ)

②日本の鉄鋼業界の歴史

1901年に、日本初の高炉であり、あの有名な八幡製鉄所が北九州市に建設されました。当時は、鉄鉱石は韓国🇰🇷や中国🇨🇳から、そして原料炭は筑豊炭田から持ってきていました(原料調達先の立地が理由で北九州市にあったのですね!)。

戦前から鉄鋼を作ってきた訳ですが、生産量が飛躍的に伸びたのは戦後〜高度経済成長期と呼ばれる1970年代頃までです。

1985年のプラザ合意(円安→円高)となったバブル期頃に、一時期輸出量が鈍化しますが、90年代後半から2000年代にかけて海外での鋼材需要が増し、輸出量は増えていきましたが、ガソリン等の他商品同様、日本国内での需要は下落の一途を辿り、各メーカーの鋼の生産能力が、需要に対して過剰となり、日本の鉄鋼メーカーでは統廃合が進みました(日本鋼管+川崎製鉄JFEスチール新日本製鐵+住友金属日本製鉄)

③各商社のビジネスモデル

商社は、製鉄会社が製造する鋼材を基に、流通・加工・部品製造等を行なうことで利益を出しています💰元々は、やはり輸出におけるマーケティング機能(新規顧客発掘)や与信機能(海外需要家の決済不履行を防ぐ為、商社が間に入る)等を機能とした流通(物流商売)が主な収益源でしたが、昨今では、加工業や部品製造業への積極的な事業投資を行ない、そこでの事業益が新たな柱となっています。

2. 鉄鋼製品業界における各商社の体制は?

実は、本社として本部・部門を設けているのは住友商事三井物産の2社のみとなっています。三菱商事は、双日と一緒にメタルワンという合弁会社を傘下にしており、伊藤忠商事丸紅は、文字通り、伊藤忠丸紅鉄鋼という専門商社で鉄鋼製品事業を運営しております。

また、三井物産も、物流業務の多くは子会社の三井物産スチールに移管している様であり、本社では事業投資がメインで行われている様です。

他方、住友商事は本社でバリバリやってます。元々、住友商事の鋼管(石油掘削に使用されるパイプである油井管等)の貿易部門は、歴代の社長や重役を輩出してきた、同社内の「✨エリートコース✨」と言われていまして、そういう背景もあるものと推測されます。

3. 将来の業界の動きは?

鉄鋼業におけるCO2排出量は、世界全体の約10%を占めると言われており、大半が前述した製鉄プロセスでの排出となります。したがい、パリ協定(=各国が自主的に削減目標を定め、それに向けて取組むことをコミット)において、注目が集まりやすい業界である為、

  1. 原料炭を使わない製鉄プロセスの確立・発展
  2. 鉄鋼のリサイクル
  3. CO2の回収・貯留→利用、

等といった技術の進歩に期待が寄せられています。

いかがでしたでしょうか❓

次回は、鉄鋼製品ビジネスに携わる社員が、具体的にどういうスケジュールでどういう仕事をしているのかにフォーカスしてお話します。

何か質問がある方はお問い合わせフォームor Twitter🐦よりご連絡を❗️

最後に。

投資の神様による5大商社株式取得はビックリしましたね!!🐱