【総合商社】事業投資の投資前の仕事ってどんな感じ?②稟議とは
どうも、ドチです🐱
前回記事では、投資前業務の一連の流れが、以下の通り、大きく以下3つに分類出来ると説明しました。
- 案件評価(デューデリジェンス等)
- 案件形成(出資比率・諸条件交渉等)
- 稟議
今回は、その上2つが良い感じでまとまってきた後に行なう、社内での稟議に関して、それがどんな内容・プロセスであるかを簡潔に解説します🎤
本記事ですが、若手商社マンと内定者の方々に良く読んで頂きたいなと思います。特に物流配属/配属予定の人って、会社で忙しい日々を過ごしていると、意外とこういう「稟議って何?」って大事な話を聞く機会ないんですよ。稟議書を自身で書く機会もあまりないし、、✍️
何を隠そう、かくいう私がそんな人でした。なので、過去の私が、
🐱(こういう記事、もっと早く出会っておきたかったなぁ)
なんて思うだろう内容を頑張って書きますね💪
それでは早速見ていきましょう🚀(記事の長さ:長め(5−6分程度🙇♂️))
目次
- そもそも稟議って何?
- 稟議プロセス期間中のスケジュール例
- 稟議は若手の中で「会社の歯車感」を醸成する仕事でもある!?
1. そもそも稟議って何?
結論、プロジェクトを実行する為等、会社の経営に影響を及ぼす案件に関し、社内で許可を得るプロセスのことを指します。
稟議を申請する案件で使用する金額にもよりますが、基本的には、申請者はそのプロジェクトを立ち上げる課/チームのある部長名、もしくは本部長名となり、許可をする人は、取締役、社長、経営会議での決議事項等、「超偉い人たち」となります。
これ、一般には、物流商売等では、20年間の長期売買契約とかそういう大規模なものでない限り、課長、せいぜい部長級の決裁で済む話なんです。1回、または複数回の船積分の商品をメーカーから購入するってせいぜい大きくても10億円等のレベルですから(それでも、、会社のお金を10億円使えるってスゴいことですよね💦)。
では、稟議の申請書(=稟議書)にはどういう内容が書かれるのでしょうか?
なるべく簡潔に言うと、
- 申請内容詳細(これは投資案件?金を貸す=融資案件?役員を差し入れる話?等)
- どんなリスクがある?それらのリスクが顕在化したらどうする?
- どの程度のリターン(儲け)を見込む?
- 上手くいかなかったら、何をヒキガネとして撤退する?撤退する時はどういう条件?
- この投資・融資によって、その商品の既存の商売にどんな良い影響がある?
って感じの内容を、詳細に書きます。まあ、前回記事の案件評価・案件形成時に一生懸命やってきた話を書面に落とすわけです。
ここで大事なのは、この稟議書を担当者が書くまでに、取引先との関係する交渉は全て「合意済」というステータスにしておかなければいけないんですね。
合意済としたら、ようやく取引先相手に、各々が稟議を通しましょうねってなるんですね。
👦(・・ん?合意した条件で、稟議が通らなかったらどうするの?)
その場合は、各取引先との再交渉が必要になります。
👱♂️「このリスク、会社からウチでは持てないと言われたので、再検討下さい」
みたいな。
ただし、やはり、再交渉って・・会社としてダサいじゃないですか?取引先からも、
取引先👨🦰(オイオイ、だいぶ譲歩したのに、おたくはその内容でも会社を説得出来ないの?)
ってなって、舐められたり信用落としたりしちゃいますし。。
そうならない様に、実は、稟議を申請する前に、本部長には丁寧に案件を説明して指示を乞うたり、各関連コーポレート部署には前広に相談し、各キーマンから非公式として「お墨付き」を得ておいたりと、綿密に綿密に動いておくんですね。
そういった、稟議に先立つ、社内外での対応も含めた、稟議プロセス期間中って、めっちゃくちゃ忙しいんですよ💦
2. 稟議プロセス期間中のスケジュール例
さあ、では具体的に、事業投資のプロジェクトチームに所属するAさん(👱♂️)の、稟議期間中(申請前の案件説明会の日)の多忙な1日のスケジュールを見てみましょうか。
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11月XX日(金)
07:30-09:00 出社。昨夜も資料作成に追われ、終電後の帰宅。この期間中の睡眠不足は致し方なし・・。 本日は13時からコーポレート関係各部が集まる案件説明会がある。営業側のメインスピーカーは課長(👨🦰)の役割だけど、資金調達や、株主間契約書の実務は自分がメインで担当したし、課長から振られるかもしれないからしっかりやっておかなきゃ。 8時より、プロジェクトチームメンバーで前述の会議の資料チェック✏️
09:00-10:00 部長(👴)交えて資料の最終チェック✏️ 👴「・・こことここ直ってない。こんなんでコーポレートの信用落としたくないから頼むぞ本当に」 👱♂️「申し訳ございません・・。」 (オイっ!B子!!頼むよ👱♂️💢・・すみません👧😞💦←後輩) 急いで資料を修正。
10:00-11:00 再度、資料を隅々まで確認している際、海外のパートナーC社より電話あり📞 👨🦱「ハロー?この間、君たちに共有した、プロジェクトの採算見通しのキャッシュフローの表、XXとXXが間違ってた💦もう少し生産量見通し落ちそうなんだ!そっちの銀行からの借り入れ、金利もう少し下げられない??よろしくー🖐バイ」 👱♂️(・・・フザケンナよ💢) 急いで、B子にエクセル内容修正を命じ、課長→部長へと報告。同時に、チーム内で分担し、既に印刷済の資料の中で、修正が必要な点を全て修正💦
11:00-12:00 先程のパートナー電話での採算悪化を受け、銀行と借入金の金利を再交渉👊 👱♂️「以前言った通り、やはり今の金利じゃ社内で通りそうにないです。もう0.15%下げてください。でないと他の銀行さんを検討します」 🏦「・・・2営業日下さい。検討致します」 こういうこともあろうかと、取引先各所には交渉余地を残してあるぜ😏💦
12:00-13:00 今日の昼食は、、課長以下みんなでレッドブル(30秒)🥤💦 飲みながら資料の最終確認。部長が隣の課の取引先とのランチから帰ってきた。一緒に内容確認。 偉い人って、、本当に忙しそうで大変だな。。この案件が目玉とは言え、全ての課で予算達成に向け時間・労力を割かないといけないんだな・・👀💦
13:00-14:30 案件説明会開始📊財務部、経理部、法務部から本案件を担当する課長や担当者が席につく。 👨🦰「・・というわけでカクカクシカジカであります。尚、今朝、パートナー企業から生産量見通しの変更を言い渡され、採算は再計算中です。銀行との再交渉状況はA君から説明してもらいます」 👱♂️「カクカクシカジカです」 財務部👓「借入金の金利をパートナー企業の責任で再交渉せざるを得ないなら、プロジェクトが返済出来なくなった場合の保証を、一部、その企業に負わせるべきです。」 法務部👓「XXとXXのリスクが顕在化し、訴訟される可能性があることへの対処を稟議書に記載して下さい。」 これらを来週木曜の、本部長→役員の説明会までに要対応とのこと。・・マジ仕事、終わらんな。。
14:30-15:30 会議での指摘された内容を、C社と交渉💣 C社より内諾を得る👨🦱💦
15:30-17:00 法務部より追加指摘受領。 👱♂️(会議の時に早く言ってよ・・なんで俺から部長までまた報告しなきゃなんないわけ) 急ぎ、課長→部長へ報告し、稟議書への記載方法を相談。やはり、部長・課長の構成・文章能力半端ない💦偉い人は偉くなるべくしてか✨
17:00-18:00 D本部長の秘書が部長の席に来た🚶♀️ 👱♀️「来週木の会議、役員の方々のご都合で、火曜に前倒しとなりました。何とか、本部長も月曜午後にお時間作ると仰っていますので、準備お願いします」 👴👨🦰👱♂️👧「・・・」 スーパー忙しい役員の予定は流動的。こういうことはよくある。。それにしても金曜夕方の今になってか・・。銀行から回答来るかな。。
18:00-19:00 👴以下、土日中のto doを確認。先週に引き続き、今週末も出社。ハタラキカタカイカクって何だっけ。子どもの運動会の父兄の徒競走だけ出て、その足で出社か・・。
19:00-27:00 稟議書のドラフトと格闘💦途中、一緒に頑張る👧と夕食に。 👧「先輩、、稟議前っていつもこんなに忙しいんですか・・」 俺も最初は思ったよ。間違いなく全てが順調にいかないし、偉い人の予定がコロコロ変わる・・。一緒に頑張ろう。 オフィスへ戻り、エクセル&ワードをカタカタ💻
28:00-32:00 帰宅(🚕)・就寝(😪)
33:00- 出社💦
➡️これ、あながち「極端」でもなんでもないんです💦マジでこんな日もあるんです。
3. 稟議は若手の中で「会社の歯車感」を醸成する仕事でもある!?
さて、そんな大変な稟議ですが、、こういうチーム全体が緊迫しており、スピードと質の両方が求められる中、ふと、
👧(私って、、言われるがままに資料作って、言われるがままに銀行に電話してアポ取って、、プロジェクトの交渉状況も一部キャッチアップ出来てないトコあって、、。なんか、作業するだけの会社の歯車になってない?)
って思うに至る若手社員って結構少なくないんですよね。新聞に載る様な大きな案件の一部を自分が担ってるって先輩は言ってくれるんですが、
👧(・・・この案件、どの部分で自分の色を出せたんだろう?・・パワポの色使い??ww)
みたいな。
周りの同期を見れば、既に物流を担当しているA子やB美は、1人で海外に飛び来年の売買契約の交渉しててカッコ良さそうに見えるし、結局、取引先や銀行と最終交渉に臨んで握手するのも課長クラス以上だし、活躍出来るのは20年後なのかな・・なんて感じで。
挙句の果てには、あれだけ頑張って稟議通したプロジェクトに出向するのは、年次が5-6上の先輩だったりするわけで(👱♂️💦)。自分はというと、現場も良くわからない本社に残り、事業管理に勤しむと。。
結果、会社を辞める社員が結構多く出てくるんですね。中には、自身で起業してやる!!という意気込みを持って🔥
こういう意見に関し、個人的には、以下2つの理由で、(もう少し待っても良いかも?)と思うことがあります。
まず、2-3年目では難しいかもですが、3-4件と携わっていけば、自分次第で案件を主体的に動かす実力がついてくるものです。先に述べた、「握手は課長クラス以上が・・」なんて話も、交渉の戦略を描き、上の人間に話をさせるのはデキる中堅社員です。本当にあなたがデキるなら、年次なんて関係ない。
次に、起業するにしても、マーケットでの資金調達に比べたら、社内稟議なんておそらく超簡単なんだと思うんです。経験したことないからわかりませんが、多分、起業家って本当に命を懸けて挑んでるので、仕事以外の全ての時間を長期間犠牲にして案件を実現させます。それぐらいの覚悟がないと、社内で何の力も発揮できないあなたには到底無理なのでしょう。。もちろん、人生で必ずド金持ち/有名創業者になるって人は、商社に残ってたらそれは無理ですけどね。
まあ、目的が、「とにかく海外で会社を経営してみたい!」であれば、総合商社も悪くないフィールドではないかなって思いますよ。
なので、若手商社パーソンには、1–2件で挫けずもう少し実力をつけるべく頑張ってみるのもありじゃないかな?って言いたいですね✌️🐱
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いかがでしたでしょうか❓・・・前回の案件評価・案件形成プロセスに加え、この稟議と言い、事業投資って華やかに見えて本当に地味な仕事ですよね😏💦
ご質問等あれば、本ブログのお問い合わせフォーム、Peing匿名質問箱、TwitterのDM等でお知らせ頂けるとありがたいです‼️最近、本当にたくさんご連絡頂ける様になり、嬉しい限りです✨🙇♂️
最後に。
今日も終日、、仮想通貨相場が気になって仕事にならなかったっす💹🐱💦ビットコインはやっぱり強いな・・・。
P.S.
平日は毎日Twitter上で総合商社関連Newsをまとめて呟いてます。よかったら見てみてね👁 → @Dochikun1