商社で活躍する人に備わる3つの能力③

仕事術

どうも、ドチです。

「商社で活躍する人に備わっている3つの能力」3部作の最終篇です。

(これは特に同じ業界の後輩諸君に読んでほしい!)

活躍する社員に備わる3つの能力(おさらい)

  1. 可愛さ
  2. マメさ
  3. 演技力

今日は「3. 演技力」についてです。

商社マンの特徴や適正、能力に関する記事や本に目を通しましたが、「演技力」という切り口で記述したものは見つけられませんでした。

が!!演技力は極めて重要な要素であり、デキる社員ほど演じます

なぜ演技が必要か?

結論、ビジネスを創ったり、取引先との関係を深める為には、相手との「共感」が必要であり、共感を得る為のツールとして演技することが武器になるからです。

以下、具体的な事例を挙げて説明します。

私の優秀な後輩の一人に、「自分、いつでもどこでも泣けるんです(=自由自在に涙を流せちゃう!)」という変わった社員がいます。

このA君は、ある商品の貿易の担当者で、厳し〜い営業部長のいるメーカーB社(日本)の相手をしていました。

〜ここで少しだけ背景知識として、貿易実務の話を簡潔にします〜

貿易取引の一般的な商流(契約関係)は以下の通り。

メーカー ー(売買契約)→ 商社 ー(売買契約)→ 顧客

商社は、基本的に売手(=メーカー)と買手(=顧客)の以下の様な需要を同時に満たすことを機能として仲介します。

  • メーカー側 :高く安定的に売りたい等
  • 顧客側:安く、且つ在庫リスクを小さくする為に”just in time”で買いたい等

メーカーから商品の引渡しを受けた商社は、海外にいる顧客へ届ける為の輸送手配を行ない、船のチャーターや航空機の定期便に乗せて商品を届ける役割を担うことが一般的です。

この一連の取組は、一見シンプルに見えますが、毎回ほぼ例外なく色々な問題が起こります。例としては、

  • メーカーの商品製造が引渡し時期までに間に合わない!
  • 契約書で定めた引渡し時期に、チャーターした船が来ない!
  • 顧客の工場がトラブルで操業停止。期日通り届けても在庫スペース無い!

等です。

これらの問題を解決する、若しくは、各方面から関連情報を事前に入手し未然に防ぐ為、毎日チーム内で必死に知恵を出し合い行動を起こすのが貿易に携わる社員の主な仕事です。

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さて、ある日、A君含むチームメンバーは、解決が難しい問題にぶち当たりました。

チャーターした船は遅れるわ(そもそも、海のシケなんて誰にもコントロール出来ず、船の遅延は頻繁に起こり得る話ではある)、顧客は然るべきタイミングでモノを引き取れないと主張し始めるわ、更には、B社の在庫レベルが高く、契約条件通りの時期に出荷しなければ工場の稼働率低減/操業停止が必要となるか、という危機的な事態に直面したのです。

もちろん、B社へ、商品引渡し時期の後ろ倒しを依頼し、代替の顧客への販売可能性を探る等、あらゆる解決策を練りましたが、B社がこの事態を知ることで、一刻も早く解決策(国内需要家に安値で売る等)を一緒に練り、実行出来る様、チームは「現状を有り体に告げる」という決断をしました。

ここからがA君の真骨頂です。

一人、B社に乗り込み、事実を説明します。

当然、先方の部長は激怒💢「もう信頼出来ない!」等怒涛のお説教です。

そこでA君は少し大き目のハンカチをポケットからおもむろに取り出し、シクシクと泣き始めました😢

「・・いや、そんなつもりじゃないからさ⤵️。。どうすればいいか一緒に考えようか。。。」

トーンが下がる部長に対し、

「徹夜して調査しましたが、、(シクシク)我々の船より先に日本に戻るC社チャーターの空き船がある様です(シクシク)。弊社の信頼を失墜させてしまうこと承知の上ですが、御社が多大な損失を被らない為には(シクシク)、国内販売よりも、C社さんにご連絡頂き輸出されるのが良いかもしれません(シクシク)」

と、ただ事態を伝えるのではなく、出来ることを必死でやり御社にとって最善策の為に懸命にやりました感、を涙ながらに訴え、修羅場をくぐり抜けたのです。

結果、契約を切られることなく、出荷時期を後ろ倒しにすることが出来たのです。

更に、C社が当初モノを購入する予定だった、別の日系メーカーD社と新たに契約し、遅れてきたチャーター船を値下げさせ、その船で海外顧客に販売、という形で新しい商売を創り追加で利益を出すことにさえ成功しました。

まさにピンチをチャンス(💰)に!という例でした。

上記ポイントは、

「自身の若さ」を武器にして、涙を見せることで同情を買った。

→相手の部長から共感を得た!(こいつがミスしたから、一人で来させられたんだな・・。上司にボッコボコにされたんだろうな・・。ツラそうだな・・。俺も昔はそういうことあったなぁ)

と、A君が仮説を実行に移し、成功したことで、信頼を落とすどころか寧ろ可愛がられる様になり、意図的にドンドン懐に入っていった、という点です。

この一連の話で言いたいことは、修羅場をくぐり抜ける方法は、何も頭を使いまくって解決策を提示することが全てでは無い、ということです(上記の事例は、見方を変えれば、頭を使って「泣く😢」という演技をBestな選択肢として選んだ、ということ)。

一方、ここまで読まれた方の中には、

(いやいや、、そんなスーパー情けないこと、超カッコ悪くてよう出来んわ・・)

と思われた方も多数いらっしゃると思います。

ただ、私は、変なプライドを保ち結果を出せないよりも、意図的に泣いてみる等、全自分を駆使することで、自身の思う様に相手をコントロールして結果を出す、という方が遥かにカッコいいと思いますし、何より本人が楽しいのではないかと思えてしまいます。

ちなみに、この変わった特技を持つA君は

「僕の涙は高いっすよ💰😏💰」

と謎の発言をしていました笑。

ではまた次回!!