【業界比較】出向経験のある商社マンが語るメーカーと総合商社の働き方の違い②
どうも、ドチです🐱
今回は、前回記事の続編の第二弾ということで、メーカーへの出向経験を基に、メーカーと総合商社の働き方の違いについて記事にしてみました✏️
実際にメーカーにお勤めの社会人に見てもらえると嬉しいなぁなんて願ってます。もちろん、いずれかの内定者や、メーカーと商社を志望する学生さんにも参考になると思いますぜ😏(ちょっと一部、専門的な記述となりますが、そこはご容赦を🙇♀️💦)
それでは早速見ていきましょう🚀(記事の長さ:普通(3分程度))
目次
- (メーカー事務職の)分業制の弊害
- (商社営業職の)先発完投型の弊害
- 工場稼働継続至上主義 vs 利益最大化至上主義
1. 分業制の弊害
第一弾の前回記事で説明した通り、メーカー事務職の業務は、
購買部なら・・・各地に存在する工場が稼働する為に必要な設備・部品、原料・資材等を効率よく、安価に購入する。
物流部なら・・・発注した品を、仕入先→工場へ効率的に輸送する為の物流手配をまとめて行なう。
営業部なら・・・各工場で生産された製品を、全社的に売上が最大化される様、商社や他メーカー等の顧客へ一括して交渉する。
等、部署毎に役割分担され分業して効率化されています。
この分業制、実はちょっと弱い部分があります。
具体的には、こんなことがありました。私が出向したメーカーA社が、A社の最大株主である日系メーカーB社より、初めて原材料を購入することが決まった際の話です。
A社の購買部は、通常、全ての調達物に関し、各サプライヤーと価格交渉を行ない、可能な限り安く&効率的に購入しますが、今回は親会社たるB社からの購入とのことで、その商品の市場価格(相場)より高めの価格で購入しようとしていました。
・・・この価格の決定の仕方、実は税務上、問題となり得る様な話でした💦物流部に、その購入取引の請求書が回され、そこで初めて、(商社より出向中の)私が問題に気付き、修正対応を迫られたという話です。
何が言いたいかというと、購買部は、在庫管理・価格交渉の業務に特化しすぎるあまり、税務面に関する知識がほぼなく、それを問題点と思わず経理に相談することなく価格を決めていたのです。よくある分業制の弊害の一つと言えます。
他方、商社ではこの様な問題が起こりにくいです。なぜかと言うと、1人の担当者が、商売を始める前に、その商売が、法務・会計・税務・リスクリターン(想定される最悪のケースで発生する損失に対する想定利益)等の観点で、全て問題がないかをチェックしてから全ての取引に移る為、取引を開始する前に全ての専門家(=コーポレート部門等)に相談しチェックする体制があります。
そういうプロセスがあるので、そもそも、営業担当者はベーススキルとして、(浅いけど)幅広いビジネス知識を持っている為、自然と、何か新しい取組の開始に先立ち、その取引におけるリスクの所在を発見しやすいのです(→だから、前述の問題に対処出来た)。
2. 先発完投型の弊害
さて、今度は逆の話です。メーカー事務職の分業制では起こりにくい問題が、商社営業職の先発完投型で起こり得ます。
以下は、結構頻繁に起こっている様な話です👂
商社のとある営業本部のA部署が、商品Bを日本→インドネシアに輸送すべく船会社のC社と運賃交渉を行ない、ほぼ同時期に別のD部署が商品Eをインドネシア→中国に輸送する商売でC社と運賃交渉をしていました。事前にA・D部署がお互いの動きを認知していれば、C社に大して、
👱♂️👨🦰「一気に日本→インドネシア→中国というスケジュールでチャーターするから運賃マケろ💰」
と交渉出来たものの、お互い知る由もなく、船会社は個々に交渉していた、という話です。
メーカーであれば、物流部が俯瞰して全ての輸送品を輸送するのに効率な船のスケジュールを組み、最も運賃が安くなる様に船を回しコストを抑えます。
この点、先発完投型ですと、自分の商売が最初から最後まで効率的にかつ利益を最大化して完結すればそれで良く、全社的な視点が欠落してしまいがちなのです。
3. 工場稼働継続至上主義 vs 利益最大化至上主義
最後に、出向して一番印象に残った話をします。
誤解を恐れず言いますが、やはり、メーカーにとっては、工場の安定稼働の継続が何よりも何よりも優先されます。
こんな話がありました。
ある日、工場のメンテナンス課のスタッフが、稼働に不可欠な装置の不具合に気づき、何とか2週間以内にその品を海外から調達しなければ、稼働を停めざるを得ない状況に陥るということが発覚しました。まあよくある話ではあります。
その際、すぐさま購買部が仕入先に発注をかけた後、物流部がその装置の輸送手段と各手段の所要時間を調査し、工場に即レポートを送りました。
📩「飛行機✈️なら高い確率で3日間、船⛴ならかかってもせいぜい1週間です」
尚、輸送費は、飛行機が船の10倍。また、仕入先は海外メーカーですが、割と近く、特段、台風接近の話もなかったので、1週間程度で着くというのはある程度信頼性が高かった様です。
この場合、商社的な発想であれば、
- 工場をX日間停めた時の売上減による想定損失
- (飛行機での輸送費) – (船での輸送費)
を比較し、例えば、3日程度で済むなら、現時点で1週間も余裕がある「船での輸送」に決定、という判断を下します。要は、出費を最小化(=利益を最大化)する発想です。
ところが、工場の判断は「飛行機での輸送」を即手配すること、でした。工場が稼働停止リスクは、元々非常に小さいものであっても、極力0に近づけろ!ということなのです。ある種、
「安定稼働 = メーカーの信頼の指標」
と言っても過言ではありません。ここに懸ける執念は凄まじいです🔥
換言すると、このメーカーの考え方をしっかり理解し、原料の売手として、工場の安定稼働に資する働きをする商社は、非常に強いです💪
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いかがでしたでしょうか❓ちょっと難しい話もありましたが、ご参考になった様でしたら幸いです😏💦
ご質問等あれば、本ブログのお問い合わせフォームか、TwitterへDM頂けるとありがたいです📩積極的に戴けると本当に励みになります✨
最後に。
久々に飛行機乗りたいなぁ・・・🐱✈️