【総合商社】事業投資の目的と若手の離職について
どうも、ドチです🐱
先日、Twitter上で以下の様なツイートをしたところ、主に同業の方から多く賛同を頂きました。
今回は、上記ツイートで述べた意見を補足する形で、総合商社における事業投資の実行判断の内情・裏側や、社員の葛藤だったりを解説します。
本記事は、同業者の皆さんのみならず、内定者や就活生にも見て頂けると、キャリアを考える上で参考になるかと思いますので是非‼️
現役社員の視点ですから、他ではなかなか見られない内容になってるはずです🐱✨
それでは早速見ていきましょう🚀(記事の長さ:普通(3-4分程度))
目次
- 事業投資案件を決定するプロセスとは?
- 稟議における社内の実情と社員の葛藤
- 若手の離職について思うこと
1. 事業投資案件を決定するプロセスとは?
まず、事業投資を行なうか否かを決めるべく行なう、案件を審議するプロセス(=稟議)について説明します。なるべく、「分かりやすさ」を最重視し、誤解を恐れずにシンプルに書きますね☝️
商社では、毎年、年間数百件もの稟議書が営業本部から申請されます。そのほとんどが、
「会社のお金💰を使わせて下さい🙇♂️」
という類のものです。具体的&簡潔に言えば、
稟議書📄「こういう素敵な案件があり、将来、必ず儲かるのでやらせて下さい。尚、この事業のリスクはXXXとXXXとXXXですが、既に事業パートナーとはXXXについて交渉し、XXXという条件を勝ち取ってますし、A国の政治経済は安定しておりリスクは限定的です。また、商品の相場が我々の見通し通りなら、事業開始から3年後以降、少なくとも年間10億円の純利益を見込めます。出資が決まったら、本社からXX名を経営陣として送り込みたく考えます。よろしくお願いします。ペコリ🙇♂️」
みたいなものです。
無数にある稟議書を見て、決裁するのは全て社長、というわけではありません🙅♀️その案件でどの程度のお金を投資するかにより、決裁者が変わります。つまり、
- ○百億円以上 → 取締役会での決裁
- ○十億円以上○百億円未満 → 社長決裁
- ○十億円以上○百億円未満 → 管掌役員決裁
- ○十億円未満 → 営業本部長決裁
と、各商社、各々のルールで規定されています。これ、社会人からすれば極めて当たり前のことですが、学生さんからしたら、
「え⁉️社長でも許可出来ない案件があるの⁉️😵」
って感じですよね?そうなんですよ🖐社長かて個人ですしね。一個人が誤った判断をして会社存続の危機なんてことになったら株主から袋叩きですよ👊💢
さて、そんな稟議ですが、全ての稟議が通る(=決裁が下る)ものなのでしょうか?
もちろん、Noですよね。だって、会社のリソース(ヒト・モノ・カネ・情報)は限られるわけで、案件を精査して分配していかないとスッカラカンになってしまいます。
※事業投資や稟議の詳細について書いた記事をご参照下さい⬇️
2. 稟議における社内の実情と社員の葛藤
・・・と、ここまで稟議プロセスや決裁権等について説明してきました。ここからは、徐々に、社員の葛藤の部分に触れていきます。
前述の通り、会社は限られたリソースの中で、最大限のリターンを得る手段として事業投資を行なっています。この考え方が非常に重要なポイントになります。
例えば、ある社員Aさんが、
Aさん👱♂️「俺は自分のこの手でアフリカの食糧危機を救う為にウチの会社に入った。この案件を通して、現場に行き、資金調達やら工場の生産管理等、人生をかけてやり切ったるぞ🔥」
という強い想いを抱き、将来絵図を丁寧に説明することで課長→部長を説得し、やっとの想いで本部長を口説くことに成功したとします。
さあ、稟議を申請するぞ、という時になり、意気込んでいたら、役員やコーポレート部門のお偉いさんから、
👴「アフリカで工場の操業をやる?そんなオペレーションのノウハウ、ウチのどこにある?」
👴「それに、今年は他本部のXX案件等に1,500億円の出資を決めている。食料関連に200億円というのは、、、ちょっと張り過ぎだな」
みたいな指摘を受けちゃうことが多々あるんです。頻繁にあります。もちろん、稟議を申請する前に、本部長以下、身内でこんなことは徹底的に議論するわけですが、やはり案件が本部の外に出ると、会社のリソースの奪い合い等があり、ほとんどの案件に、一旦、ブレーキがかかるわけですね。リソースが配分されやすいのは、会社の戦略(今後、どういう分野を強くしていきたいか等)によります。
結果、出資比率の引下げ(例えば、51%→20%とか)を行ない、パートナー企業にオペレーションを任せるといった結論になったりすることも多々あるわけです。政治でそうなることもありますが、基本的には、それが現時点での総合的に見た最良の投資ということになります。
もちろん、支配権を獲得してオペレーションをすることが出来なくなったからと言って、必ずしも出向のポジションが失くなるとは限らないのですが、例えば、この案件でAさんが現場に行けなくなった時、アフリカでの夢を果たせなくなった彼は、おそらく身の振り方を考える様になるんですよね。
つまり、必ずしも個人の強い想い = 会社の方針とはならないわけです。
3. 若手の離職について思うこと
実際、その様な事態に自身が直面し、会社を辞めていく同期や後輩がいました。彼らの転職先は、たしかに裁量権の大きいベンチャー企業だったりが多い気もします。
一方、実際に自身が核となり稟議書を書き上げ、コーポレートや経営幹部と戦う側にいた、というわけでもなく、横から見ていただけなのに、
👦「会社はやりたいことをやらせてくれない・・・」
👧「全て政治で決まるんでしょ。日々、延々と資料作りしてる時間がバカみたい・・・」
と達観する若手が多いことも事実です。まあ、人それぞれではあるのですが、冷静な頭で分析することなく単に熱い想いだけを持ち、小さな案件であっても、課長や部長すら説得出来ずに辞めていくのを見ると、その時は少し(モッタイナイなぁ)とは思うことがあります😞
もちろん、それが会社を辞める唯一の理由ではないでしょうし、私だって資料作りはどちらかと言えばキライな部類に入る仕事であり、1週間それだけやってろ、って言われたら考えますけどね😄💦
ただ、どんな小さな仕事でも、付加価値をつけようと思って取り組めば自分の意思を反映出来ますし、成功体験の積み重ねで信用が付き、だんだんと周りが味方になってくることにより、大きな案件を実現出来るのだとは思ってます。
👦👧「そんなの待てない!今すぐ!」
という方は、おそらく総合商社というフィールドは合わないのだと思います。
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いかがでしたでしょうか❓外からは見えざるリアルな話ですよね😏
ご質問等あれば、本ブログのお問い合わせフォームか、TwitterへDM頂けるとありがたいです✨
最後に。
最近、ずっと週末雨だし、今週末は晴れてほしい・・・🤞🐱✨