【総合商社】お金儲けよりも大切なもの
どうも、ドチです🐱
さて、もう11月も半ば。物流を担当する商社マンは、来年の年間契約交渉の真っ只中の超忙しい時期ではないでしょうかね??
日本の会計期間って、基本、4-3月ですけど、世界のスタンダードは1-12月なんですよね。なので、基本的には、取引先との年間契約(※)の交渉は、10-12月中に行われる商材がほとんどなんですよね☝️
(※)①いつ、②どの程度の数量を、③いくらの価格で、売買&船積みするか、を規定する1年間有効な契約
さて、そんな物流商売の年間契約交渉(以下、「年契交渉」)の話に絡め、今回は、「お金儲けよりも大切なもの」と題して、私の数少ない成功体験を通じ、ちょっとだけ良い話を小説仕立てでご紹介しようと思います✍️
(ずいぶん、仰々しい題名だな😒いつもは「商社は儲けることなら何でもやる『何でも屋』だ‼️」って拝金主義的な発言してるクセに😒😒😒)
そ、そうでしたっけ💦
もちろん、利益を上げれば上げる程に、社内では評価されるのは間違いないわけですが、、我々、決して社内評価だけの為に働くわけじゃないんです。
仕事してると、心底、「この人の力になり続けたい」という様に、相手に心動かされる時があるんです。
・・ということで、本記事では、過去、私自身が心動かされた経験をお伝えしようと思います。何かのノウハウという意味では参考にならないかもしれませんが、
(やっぱ仕事って素敵なもんだよなぁ✨)
って少〜しでも思って下さる方がいれば本望です。ちっぽけな私の体験ですけどね。。🐱💦
それでは早速見ていきましょう🚀(記事の長さ:長い(5-6分程度🙇♂️))
目次
- 新規大口需要家現わる!!
- ホテルの朝食で☕️
- ギリギリの交渉🔥
- ニューデリーでの握手🤝
1. 新規大口需要家現わる!!
201X年、物流メインの課で、とある商材Aを扱う物流担当をしてた時の話である。
チームメンバーは、チームリーダーの先輩(👨🦰)と私(🐱)の総合職2名+一般職(👩)1名の計3名。それまでの2年間、一生懸命やってきた結果が実り、その業界において、日本の商社では1-2位を争うトコまで昇りつめていた。
そんな7月のある日、欧州の国際会議に出席し、20社程の業界関係者と面談をしていた先輩から速報が届いた📩
👨🦰📩「今、とあるシンガポールの企業とロビーで立ち話したんだが、、B国で商材Aの新規需要あるみたいだ!!デカいぞ!!20万トン/年だ!!今、少し話した担当者の連絡先聞いたから、フォローアップ頼む。いち早く囲い込んでウチが売るぞ!!」
マジか🔥アドレナリンがピュー⛲️この商売を取って一気にシェア日系商社No.1になってやる✨そう意気込み、早速、その担当者、Mr. M(以下、M氏🤵)と連絡を取った📞📩
何でも以下の様な事情らしい⬇️
- M氏は、B国にあるC社の工場の調達・営業責任者。C社の①原料調達、及び②製品マーケの2点を目的として設立した、C社の姉妹会社たるD社/シンガポールのCEO
- 今回、C社の工場を2倍の規模にすることに。それに伴い、Aの需要も2倍に。それまではB国の国内メーカーから需要量の全量を購入してきたが、それでは足りないから輸入を検討開始。
- 世界におけるAのマーケットを調べると、主な輸出地域は、日本を含む極東地域と判明。中韓は直接メーカーにアクセス試みるが、日本は、大きなメーカーが3-4社あると聞いたが、よく調べてみると、輸出マーケットで活躍する主なプレーヤーはMitsubishi, Mitsui, Sumitomo, Itochu, Marubeniという様な面々であるとわかった。
- 輸入者として自分たちは新参者。何としても、翌年の輸出品が売り切れる前の9-10月までには契約締結しておきたい。とりあえず、8月半ばに日中韓回る。その時に会って話がしたい。
ふむふむなるほど🤔とりあえず、8月に会うことを約束し、電話を置いた。
それにしても、新参者だが業界のことをよく勉強している。いち早くコンタクト出来たからウチが囲い込めるわけではなさそうだ。恐らく他商社にも声がかかるだろう。
さあ、どうすっかな。
2. ホテルの朝食で☕️
それから、M氏の部下と継続してコンタクトを取り、M氏の来日日程が8月16日〜17日の2日間であることを知った。早速、16日の朝イチでアポ申し入れるも、、他商社との先約があるとのこと。。先越されたか💦
切り替えて、奇策を取ることに。資料の作成に取りかかった💻📄
16日当日朝07:30、朝食の時間を狙った。場所は銀座にある三井ガーデンプレイスホテル。M氏らしき人物が、ラウンジで新聞を見ながらコーヒーをすすっていた☕️恐る恐る声をかける。
🐱「M氏ですか?XX社のドチです。朝イチですみませんが、今ちょっとだけ話せます?」
🤵「Oh~、あなたがMr.ドチですか?いいですよ、どうぞ座って下さい」
第一印象は、物腰の柔らかいジェントルマン。さすが企業のトップを勤める人物。同席する部下のS氏(👨🦱)は購買部長か?
手短に、資料を用いて以下を説明。
- ウチの日本の輸出品のシェアはトップクラス。
- 特に、国内の業界1位、3位のメーカーたるE社、F社からの購入量は商社No.1であり、全幅の信頼を頂いてる(本当は、F社はNo.2だけど😜💦)
一通り説明した上で、以下、思い切って発言。
🐱「朝イチで時間をもらったのはお願いがあってのこと。E社とF社へのこの商談の持ち掛けは、他商社に声がけすることなく、ウチに完全に任せてほしい。私ならいずれかから必要数量分のOfferを必ずもらえるから」
🤵「Mr. ドチ、貴社の実績は分かるが、このプロジェクトは失敗が許されない。今ここで、今回の来日での他社とのアポを全て切りあなたに任せ、『結局、需要量全部まかないきれませんでした』はあってはならない。他商社とも会わせてくれ。」
🐱「その場合、どうせ他商社もE社、F社に声をかける。複数の商社からアプローチを受ければ、両メーカーは共に価格を吊り上げてくる。それはあなたがたにとって不幸な結果になるはず。私を信じてほしい」
🤵「・・・分かった。そこまで言うなら。ただし、(業界2位の)G社にパイプを持つ商社のXX社にはこの後10時から会う。おい、S!早速他の商社とのアポはキャンセルしておいてくれ」
🐱「ありがとうございます。必ず朗報を届けます」
そう会話を終え、最後にそれとなく聞いた。一応、そのG社との間にいる商社を把握する為。
🐱「10時にXX(その商社の所在地)ですよね?少し距離あるので早めに出た方が良い。受付経由でタクシードライバーに伝えておきます?😏」
🤵「・・・では、頼みます」
やはり競合はあの商社か。思った通り。ただ、来年、G社の工場は大きな修繕を控えており、生産余力が無いことを把握してたので、これは問題ないはず。
🐱(あとは、しっかり俺がE社/F社を説得出来るかだ。。我ながら結構な見栄を切ってしまった💦さて、どう攻めようか。。)
それにしても、M氏の腹の据わり方はさすがだった。柔らかい物腰とは裏腹に、こちらの話を真剣に聞いている時のあの鋭い眼。一瞬たりとも視線をこちらから離さなかった。相当なやり手だろう。
🐱(約束を果たし、何とか俺も彼に認めてもらえる様なビジネスマンになりたい)
そう思いながら、ホテルを後にした。
3. ギリギリの交渉🔥
結局、2週間ひたすらこの業務に集中し、E社を何度も訪問、Offerを引き出すことに成功した!
ただ、、Offer価格は高い。。それはそうだ。来年の各需要家との年間交渉を控えるに先立ち、いきなりウチから紹介を受けた新参者に出す価格が低いわけがない。
E社とD社の間に立ち、Offer→Bid→再Offerとやりとりを繰り返すうち、ある程度双方の条件が近づいてきた。もう一押し!
そんな中、E社のK営業部長からついに言われた。
K部長👓「これ以上下げろというなら売らない。ウチは手を引く」
さあ背水の陣。もうOffer価格は変えられない。あとはD社を説き伏せるのみ。
・・どうしよっかな。。そうだ、情報誌機関に電話して、中国・韓国のメーカーが来年の契約交渉でどの程度の価格を準備してそうか聴き出そう。
そう思い、欧州の営業が始まる日本の夕刻にロンドンの情報誌機関に📞。なるほど、そのレベルか。じゃあC社はXXドル/トンくらいで韓国勢と交渉中か。であればそれより0.5ドル/トン低い今のE社のラストOfferなら決められるはず。
そう思い、ラストOfferとして、シンガポールのS氏に📩して📞。
🐱「これがラスト。これ以上は無理だ」
👨🦱「・・あと、1ドル安ければ決められたんだが」
🐱「それは残念。約束したのに力になれなくて申し訳ないとM氏に伝えてほしい。こちらは精一杯やったつもりだ。中国・韓国勢との交渉、頑張ってくれ。いつかあなたがたと取引出来る日を夢見ている」
ゴクリ・・。さあ、、どうするよ?
👨🦱「・・・Mr. ドチ、2分待っててくれ」
・・・やった!😆今、S氏はM氏の社長室に言って、「日本品は限界まで下げました。買いますね」って話してるぅ〜!!俺には見えるぜぇ〜👁ナメんなよ👊
戻ったS氏は言った。
👨🦱「君から買いたい。Offerを受諾します。」
4. ニューデリーでの握手🤝
無事、契約成立。10月にニューデリーで開催される国際会議に、D社も参加と聞き、E社のK部長(👓)をお連れし、契約書の調印の為、インドへと飛んだ✈️
D社、E社そして私の3社面談。調印を終え、M氏は、中国・韓国勢との交渉結果を我々に共有してくれた。無事、合計で全需要量をまかなえる予定であるとのこと。それを聞いて、
🐱(・・追加商売はないのか、残念)
と少しがっかりもしたが、交渉に苦労したからか、何より、彼らが無事ミッションを達成出来たことが嬉しかった。
続けて、M氏はこう話してくた。
🤵「Kさん、今日はわざわざ来てくれてありがとうございます。こうしてKさんとお会い出来たのは、このMr. ドチのお陰なんです。彼は、我々がミッションで来日した際、誰よりも早く会いに来てくれました。E社から必ずOfferをもらうと。真剣な眼差しだったので、初対面の彼を信じました。でも信じて良かった。正直、G社にもアプローチしたのですが、間の商社の担当とは比べ物にならない程、Mr. ドチの動きが早かった。我々の切実な状況をしっかり受け止めてくれてるのが容易に理解出来たんです。」
そして、
🤵「Mr. ドチ、本当にありがとう。来年、安心して新工場の稼働を開始出来る。再来年以降も、この3社で長く取引を続けられることを強く願います🤝」
と言ってくれたのだ。胸が熱くなったことは言うまでもない。
95%が泥臭く地味な仕事の中で、数年に一度あるこういう瞬間は本当に輝いてる✨
「見栄を切ってでもチャンスを掴みに行き、約束を果たす為に全力を尽くし、感謝される様な結果を最後に出す」
これが我々の役目である。どれだけ儲かる商売をまとめて社内で評価されようが、取引先の感謝には勝てない。そう思わせてくれた大切な経験だった。
ただ、、最後にM氏からコメントを求められた際、
👓「He is crazy!!www」
って、K部長が私のことを言ったのは、、何だったのだろうか。。愛情表現ですよね?多分?😊
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いかがでしたでしょうか❓
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最後に。
ようやく咳が治ったと思ったら、娘が咳き込み始めた・・うぅ、ごめん🐱😞
P.S.
平日は毎日Twitter上で総合商社関連Newsをまとめて呟いてます。よかったら見てみてね👁 → @Dochikun1