【総合商社】事業投資の投資前の仕事ってどんな感じ?①案件評価・案件形成

仕事内容 総合商社

どうも、ドチです🐱

前回記事では、事業投資における、投資後の業務である事業管理業務について解説してみました。

今回は、「事業投資の投資前の仕事って何やるの?」ということをテーマに書きます✍️今回は、2回にわたるシリーズの前半(案件評価・案件形成編)です。

👧「前回記事にも記載あったけど、稟議を通すことがメインの仕事でしょ?」

まあ、その通りではあるのですが、もちろん、社内の許可を通す為には、それに先立って投資先企業だったり、一緒に出資するパートナー企業との交渉を事前に行なっておく必要がありますよね?

本記事では、稟議に先立つそれらの業務内容について、具体的な例を挙げて分かりやすく説明することを目的としております✨

毎度のごとく、(拙いですが💦、)現役社員によるリアルな話ですので、業界研究の参考になるとは思います🐱😏🎵

それでは早速見ていきましょう🚀(記事の長さ:普通(2−3分程度))

目次

  1. 案件評価
  2. 案件形成

投資前業務の一連の流れは、大きく以下3つに分かれます。

  1. 案件評価(デューデリジェンス等)
  2. 案件形成(出資比率・諸条件交渉等)
  3. 稟議

それぞれ、部分的にはなりますが、具体的にどういうことをするのか、例を挙げながらなるべく簡潔に説明していきますね💪

1. 案件評価

ファーストステップの案件評価ステージですね。文字通りなのですが、簡単に言えば、投資先企業/プロジェクト、共同出資者等の事前調査・情報収集って感じですかね。

当たり前のことですが、このステージでしっかり評価をしなければ、後々、巨額の損失を抱えてしまうことになり得るので、ここはとても慎重にやります。

評価をすべきリスクの例として、以下の様なもの挙げられます(あくまで一例です)⬇️

  • カントリーリスク:その国の政情、経済、文化等によりプロジェクトに悪影響が及ぶリスク
  • 技術リスク:人材の流出等により、強みである技術が漏洩してしまう等のリスク
  • 市場リスク:製品の価格変動が激しく、販売価格がコストを下回り採算が取れなくる等のリスク

例えば、上記に挙げた一部のリスクが顕在化してしまった以下の様な事例があります。

  • 投資先A社が主力製品としていた商品Bは、C国の市場において、A社とD社、そしてE社の3社が独占していた為、当面は高い利益が得られると見込んでいた。
  • しかし、実際に出資をした2年後に、海外の大手メーカーF社が市場参入したことをきっかけに、A社のシェアの半分程があっさり奪われることとなり、当初想定していた売上が実現出来なくなった。
  • もちろん、事前にA社製品の技術的優位性の検証は行なっていた。ただ、それが、B国側の共同出資社たるパートナーによる説明(「商品Bの原料と、Bを原料とする製品のそれぞれをグループ会社で押さえており、技術的にBのUpdateが必要となったとしても、バリューチェーンの中で対応出来、この組織関係が新規参入を目論む他社にとって、技術的参入障壁になる」)を信じ切ってしまっていた。
  • だが、結局、A社のコア技術者がF社に引き抜かれしまい、技術は漏洩。コスト競争力のあるF社に大きくシェアを奪われ、A社は苦境に陥ってしまった。日本のメーカーの様にマニュアル等があるわけでもなく、技術の核の部分がそのコア技術者に集中してしまっていた。

つまり、競合が市場に参入しても、それに打ち勝つだけの競争優位性が自社にあると判断していたのですが、その優位性が、組織的ではなく、属人的であったわけですね💦調査不足と言わざるを得ません。

であれば、その人材が流出しない様に、しかるべき対策(契約/報酬)を立てたり、新たなコア人材を育てる等すべきだったわけですね。

この様に、潜在するリスクをトコトン突き詰めず、根拠が薄い楽観的な評価を行なってしまったが為、ツケが回ってプロジェクトの命運を左右する様な事態に陥ってしまうことがあるわけです😞

見出し:2. 案件形成

このステージは、案件評価も完了し、具体的にパートナー企業と共に、どういう出資比率・条件でプロジェクトを進めますか?ってことを決めていく段階です。

まずですね、そもそも商社の事業投資って、基本的には中長期にわたって進めていくものなんですよね。なので、その間には環境も大きく変化します。

参画(=投資決定)した際は、✨バラ色の未来✨に心が躍るのですが、実際は想定外のことが次々に起こり、多くの案件では経過時間と共にリスクは顕在化し、担当者の心労もドンドン溜まっていくこともあるんですね🤷‍♂️

その場合、最悪、会社から撤退を迫られる様なこともあるわけです。だって、一企業が出せる経営資源(ヒト・カネ・情報等)は有限ですしね。。

ということで、このステージで最も大事なのって、「プロジェクトが上手くいかなかった場合を想定した備え」をどう取り決めておくか(=撤退条件の取決め)なんですね☝️

もっと具体的に説明しましょうか。

案件が上手くいっている時は、パートナー企業との協議って大体スムーズにいくことが多いんですけど、上手くいっていない場合、こちらが、

自社🏢「撤退します!」

と申し出ても、

パートナー🏢「は?何言っちゃってんの??お前ら絶対逃がさんぞ!?」

ってなるわけです。

つまり、「結婚する時に離婚した場合の財産分与等の諸条件を決めておこう」という話ですね💒この交渉も結構、、シビアなんですよね。

例えば、こんな失敗事例があったりします。専門用語を使わずに説明しますね。

  • とある海外の投資先企業A社から、当期中に撤退することを社内で決定。尚、A社株式を他社に売却する場合、株主間の契約上、全パートナー企業の同意が必要となっていた。
  • 保有するA社の株式は、最終的に一パートナー企業である日本メーカーのB社に売却したが、B社の社内検討が非常に遅く、当初予定した年度内の売却が出来ず、翌期に持ち越された。
  • 当期中でなく翌期となってしまう場合は、再度、稟議を書かなければ売却を推進出来なかった為(※)、それだけは防ごうと担当者は他メーカーへの売却を考えるも、「売却先を競合他社としてはいけない」と、プロジェクト開始前に締結した契約書で規定してあり、それは不可だった。
  • 結局、翌期にパートナー企業へ売却せざるを得なかった。
()会社からの指示は、「当期中であれば(他の案件で利益が出ており、この案件の売却損が出ても会社全体の予算は達成出来そうだから、等の理由で)、OK。だけど、翌期は(まだ会社全体の利益がどうなりそうか見通し立たないから、等の理由で)絶対ダメ!!」という様な事情があったわけですね。

という話です。こういう話も、案件形成時になんか手を打てたわけですよね。

例えば、他のパートナー企業の株式との交換で撤退可能とする、等いった条件を、契約書に盛り込んでおくべく交渉しておくべきだった等々。

なので、どういう条件を満たせば、売却益を最大化/売却損を最小化しながら撤退出来るか、というのは必ず事前に考えておかなければいけないんですね🖐

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いかがでしたでしょうか❓次回、後半では「稟議」について書きます✍️・・稟議を通すって本当に大変でしてね😏💦

ご質問等あれば、本ブログのお問い合わせフォーム、Peing匿名質問箱、TwitterのDM等でお知らせ頂けるとありがたいです‼️最近、本当にたくさんご連絡頂ける様になり、嬉しい限りです✨🙇‍♂️

最後に。

今日は終日、、仮想通貨相場が気になって仕事にならなかったっす💹🐱💦

P.S.

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