【総合商社】総合商社の総合力とは?
どうも、ドチです🐱
今回は、「総合商社の『総合力』って具体的に何?」というテーマで記事を書いてみました✍️
背景ですが、以前、「専門商社と総合商社の違い」という記事を書いた際、読者の方からこの様な質問を頂戴したのがきっかけです。
🐱(たしかに・・・、具体的にイメージ湧かないだろうなぁ🤔)
ってなりまして🖐
ということで、早速見ていきましょう🚀(記事の長さ:少し長い(4分程度🙇♂️💦))
目次
- 総合力とは~①物流の例~⛴
- 総合力とは~②事業投資の例~⚒
- 問題点と課題🤔
1. 総合力とは~①物流の例~⛴
いきなり例から入っちゃいますが、例えばあなたがA商事の食料本部に所属し、コーヒー豆の日本向け輸入商売を担当していたとします☕️コーヒー豆の輸送には「ばら積み船」という、巨大な貨物室を持つ船が利用されます。
このばら積み船、1仕事終えた後に貨物室の掃除をしっかりやれば、色々な貨物を運べるんですね。小麦・コーンといった穀物や、木材チップ、石炭や鉱石といった資源まで輸送できる汎用船なんですね☝️
さて、この度、日本の焙煎業者のB社へ、コロンビア産コーヒー豆の販売の商談を持ちかけることになりました。色々と条件が詰まってきて、あと一歩というところで、B社より、以下2点の条件を突きつけられてしまいました。
- 購入価格をあと300円/トン下げてほしい
- 小売業者に焙煎後の豆とセット販売する為の紙コップを調達してほしい
あなた👱♀️(うぅ、、既に、コロンビアのサプライヤーとはこれ以上仕入値を下げられない程交渉したし下げられそうにない・・・。それに、、ここへ来て紙コップの調達!?)
このB社による条件提示の背景は、どうやら、業界の競合である、コーヒー豆輸入専門商社のC社と商権を競わされているということがわかりました👂
さあ、あなたはこんな状況でどうします?
まず、1.ですが、総合商社たるA商事は、当然、社内で色々な商材を扱っています。その中でも、エネルギー本部の石炭部が、中国→メキシコの商売をしていることがわかりました。
石炭部と協力し、一緒に船会社と交渉すれば運賃を下げられるかもしれない(*)と考え、実行したところ、無事、300円/トンの輸送費の削減に成功しました✨
(*)船会社の立場からすれば、コロンビア→日本という往路だけの輸送を複数回行なうだけだと、日本→コロンビアの「復路の航路での売上(=収入)」が見込めない。だが、中南米←→アジアで往復で売上が立つなら、収入がドカンと増える分、客(=ここではA商事)にはある程度ディスカウント出来る。つまり、コーヒー部/石炭部が別々に運賃交渉するより、一緒にやった方が得💰✨
👱♀️(ヨシ!1.は解決👍)
2.は、、生活産業本部の紙・パルプ部が何か知ってるかもしれないから、とりあえず話聞いてみよう🏃♀️💨
どうやら、
- コーヒー等の飲料用にはXXXという素材の紙の仕様が良い
- 同部では取扱いはないが、取引先にそれ専門に扱うメーカーがいる
- とりあえずサンプル分として、B社が望む数量を発注することは可能
という話らしく、B社より条件を提示されてからわずか2日で事が進みました👏
上記2点を解決したあなたは、無事、B社へのコロンビア産のコーヒー豆販売案件を成就させましたとさ㊗️👱♀️🎉
こんな感じで、総合商社は、
- 色々な商材を扱うがゆえ、取扱う商材によっては、同じ輸送手段を利用する他部署と協力してコスト削減交渉を行なうことが出来る。
- 他分野の話でも社内にプロ/専門家がおり、すぐに&無料で相談にいける。相談先の部署が直接商材を取り扱ってなくても、取引先伝いで求めているモノ・情報にアクセス出来ることがある。
という特徴があり、物流商売における総合力の発揮と言えるでしょう。
※上記ストーリー自体は、もちろん筆者による適当な設定です。ただ、結論に記載した様な総合力の発揮は事実ベースです。
2. 総合力とは~②事業投資の例~⚒
さて、次はあなた(👨)がB物産の資源エネルギー本部に所属し、オーストラリアで鉄鉱石の鉱山開発プロジェクトを担当していたとします💎
このプロジェクトは、いわゆる「資源メジャー」と言われる海外の資源会社D社との共同プロジェクトであり、現場での開発作業は主にD社からの出向社員・ローカル社員を中心とした技術陣が牛耳っており、彼らの腕により良質な鉱石が大量に採れ、プロジェクトの採算を潤しています。
商社であるB物産の役割は、プロジェクトの資金繰り(ファイナンス)や、鉱石の販売先開拓(マーケティング)等がメインですが、パートナーたるD社からは、
D社👷♂️(ファイナンスもマーケも、自分たちで何とかなりそうだから、次の新規プロジェクトではB物産には声をかける必要なさそう🤷♂️)
と思われている感じが、昨今、打合せ時の会話からプンプン伝わってきます。。
さあ、あなたはこんな状況でどうします?
プロジェクトでは、日々、様々な問題が起こります。
- 掘削機/鉱石運搬トラック/ベルトコンベアー等の主要機器の故障
- 敷地外への汚水漏れ発生による近隣住民からの環境破壊反対運動
- 採石場→港までの鉄道の線路の整備不良発覚
- 労働条件改善を求める従業員のストライキ 等々
もちろん、資源メジャー自身も、長い開発の歴史で色々な修羅場を越えてきたわけですが、総合商社には、幅広いネットワークを駆使することで、多面的に解決を試みることが出来る強さがあります。
例えば、重機・建機関連の本部が隣国ニュージーランドでコ○ツ社(🇯🇵)やキャ○ピラー社(🇺🇸)の販売代理店をやっていた場合、そのツテで即調達することを可能にし、稼働低下期間を最小限に出来たり、鉄道・インフラ関連の本部の豪州スタッフに連絡し、線路のメンテナンス方法をすぐに相談・解決出来たりします。
こういった話も「総合力の発揮」と言えそうです。
3. 問題点と課題🤔
ここまでの話を聞いて、こう感じた方はいませんか?
👩(・・・プロジェクト運営側の本部と、物資・機材を販売する側の本部とでは、利益相反となることってないんですか??)
こう思われた方、めちゃくちゃ鋭いです⚡️✨
どういうことか簡単に説明すると、例えば前述の事業投資の例で、
- 資源・エネルギー本部のプロジェクト担当からすれば、主要機器を新規調達する際、出来るだけ安価に購入したい(=プロジェクトのコスト増を出来るだけ抑えたい)。
- 他方、重機・建機本部の担当からすれば、利益を最大化する為に、出来るだけ高く販売したい
となるわけですね。
こういう時、どう考えるべきでしょうか??🤔
普通に考えたら、考え方の基準としては、B物産全体にとって利益が最大化する選択を取るべきですよね?具体的には、
- 資源プロジェクトへの出資比率が20%だとしたら、機器を100で買ったら、プロジェクト自体のコスト増は100(→つまり利益は-100)だが、B物産のシェアで見たらコスト増は20(→つまり利益は-20)
- 重機・建機本部視点だと、単に+100
➡️つまり、高く売れば売る程、B物産全社としては利益増となるわけです。
実際、経営幹部からすればこういう考え方が理想的なのですが、実際の現場では、プロジェクトの採算が自身の評価に直結する資源・エネルギー本部員と、重機・建機販売益が自身の評価に直結する同本部員の交渉が決裂するなんてこともあります。
なぜこういうことが起こるか?極端な言い方をすれば、全社目線で物事を考え、時として、他本部の利益へに貢献を優先させるという軸が、必ずしも人事評価制度に反映されていない、という事情があります。
もちろん、この様な事情が「一般的」と言ってるわけではなく、こういうこと起こりうるのが現状、ということです。
なので、本当に全社目線で総合力発揮を最大化する為には、そういう現場で働く社員の目線に立って考え、評価制度を整備/見直しする必要もあります。
以上、色々書きましたが、取引先相手に/出資するプロジェクト相手に、自身の担当分野以外でも悩み/課題解決を何とかしてやったる!!という熱い気持ちを持つ方にとっては、地球単位で総合力を発揮出来る総合商社というフィールドは魅力的かもしれませんね🐱✨
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いかがでしたでしょうか❓ちょっと難しい話でしたでしょうか?💦
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最後に。
最近異様に忙しい・・・🐱💦
P.S.
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