総合商社のAI関連取組まとめ
どうも、ドチです🐱
今回は「総合商社のAI関連取組(2020年8月9日現在)」についてまとめてみましたのでご紹介します。
え?商社もAI関連で何か事業してるの??
基本的に、総合商社は新しい分野にはとりあえず何でも手を出しますので、これだけ世間的に盛り上がっているAIという分野も、ご多分に漏れず、2017年頃より各社アクションが活発化している様です🔥
ただ、後述の通りですが、自社の既存事業の効率化・付加価値提供を目的としたAI企業への「出資」や「業務提携」等がメインであり、やはりまだまだ収益化に繋がる様な成果を出す段階にはなさそうです。
では、早速見ていきましょう。
まとめ
社名 | 活用分野 | パートナー企業 |
三菱商事 | 交通、ICT、食料、物流等 | 西日本鉄道 Digital Realty(米) NTT等 |
三井物産 | エネルギー、ヘルスケア等 | GRID Preferred Networks テクマトリックス等 |
住友商事 | ヘルスケア、金属資源、物流等 | Airforce solutions アラヤ Origin Wireless等 |
伊藤忠商事 | インフラ、ヘルスケア、繊維等 | ABEJA TOZI(中) クーガー等 |
丸紅 | ヘルスケア、交通、物流等 | Predii(米) Optina(カナダ) Enlitic(米)等 |
➡️日本の高齢化社会での商機を睨んでか、現状ではヘルスケア分野での応用を目論む商社が多い様ですね。
さて、上記の各社を、以下の通り具体的に見ていきましょう(プレスリリース内容及び各種メディアでの報道内容を超簡潔に要約したものです)。見出しカッコ内はリリース/報道時期
①三菱商事
(1)AI活用型オンデマンドバス事業(2019年3月、2020年8月)
- ダイヤ等無く、お客様のリクエストに応じ、AIによる最適ルート判定を行なうバス事業。①多数のミーティングポイントの設定、②専用アプリからのリアルタイム配車、③予約状況、渋滞等のデータ蓄積・学習による効率運行の実現、④クレカ決済。
- 2019年には福岡県で、2020年には長野県で実証実験。
- 運転手不足や乗客減に悩む地域の交通網の維持への貢献を図る。
(2)本邦データセンター事業(2017年10月)
- AI/IoT/クラウド等で急増が見込まれるデータ処理・管理の基盤としてのデータセンター事業開始
- 2022年迄に国内約10ヶ所で新設、2000億円を超える投資を行なう見込み
(3)NTTとの流通効率化(2019年12月)
- 2020年度から食品流通を対象に、食材等の在庫や商品情報を業種を超えて管理出来る様にし、素材分野等にも拡大予定
②三井物産
(1)日GRID社への出資参画(2017年4月、2019年11月)
- 出資先の技術を活用し物産グループ保有の事業資産やパートナー・重要顧客の課題解決を図る(例:LNGプラント等の運用効率を高める)。
- GRID社の増資に応じ、19年10月中旬に15億円を出資し出資比率は10%超とした。
(2)日Preferred Networks社への出資参画(2017年12月)
- Deep Learning技術を活用し、物産グループ保有の事業資産やパートナー・重要顧客の課題解決&Recurring Business Modelの事業化
(3)医療画像AIプラットフォーム事業(2018年1月)
- 蓄積された画像データを基にデータプラットフォームを構築、医療の高度化に資する読影診断支援AIサービスや、医療施設と連携した個人向けサービスを開発・展開。
(4)シニア世代向け音声サービス事業(2018年7月)
- シニア世代に対する音声AIスピーカーを活用した音声サービス・アプリ事業
- 心身の健康維持や娯楽、行動・活動支援のための使いやすい音声サービス・アプリを提供し、サービス利用者が地域コミュニティと繋がることを支援
③住友商事
(1)日Airforce solutions社との資本業務提携(2019年7月)
- 出資先の技術を活用し、住商グループの様々な事業領域へのAI導入を促進し、データ利活用による業務最適化、付加価値の提供、競争優位性の創出を目指す
(2)日アラヤ社との資本業務提携 (2019年10月)
- 端末側でデータを処理する「エッジAI」や、ドローンやロボットが状況を自ら判断して動けるようにする自律AI等の技術を持つアラヤ社と子会社の住商マシネックスの業務提携
(3)日Origin Wirelessへの出資(2020年2月)
- Wi-Fi等の通信用無線電波の変化をAIで分析し、人の動き、呼吸や心臓の鼓動等小さな動きを検知する技術を保有するOW社への出資を通じ、高齢化社会における安心な生活環境の提供、鉱山・倉庫のスマート化等、あらゆる産業への貢献を目指す。
④伊藤忠商事
(1)インストア・アナリティクス事業(2017年3月)
- Deep Learningを活用した独自の画像解析で取得する各種データにより、来店人数、来店者の年齢・性別、回遊パターン・滞留時間等を解析・定量化し、収益最大化に貢献。
(2)次世代蓄電システム販売事業(2018年10月)
- 気象予報やユーザーの電力需要・発電予測等をAIが分析・学習し、IoT遠隔制御システムと連動して蓄電池の最適充放電制御を行うことで、太陽光・蓄電池の効率運用を可能とする次世代蓄電システムならびに蓄電池専用電力料金プランの販売。
(3)中TOZI社との資本・業務提携(2019年10月)
- モバイル端末による撮影画像からAIによる3Dバーチャルモデルを作成できる機能等を兼ね備え、高い精度を誇る採寸技術「1 measure」を持つTOZI社と提携。将来的にはヘルスケアやゲーム・エンターテイメント等ファッション分野以外でのシナジーも見込む。
(4)日クーガー社への出資(2020年1月)
- ゲーム開発や大規模検索エンジン開発等の実績があり、人間のような感情を持つゲームAIの知見や、ブロックチェーンにてAIに信頼性を与える技術、人間の表情・しぐさなどを読み取り分析する画像認識AIにおいて世界最高レベルの技術を有すクーガー社との業務提携。
⑤丸紅
(1)医療機関向け AI 診断支援サービス事業(2020年7月)
- 診断支援製品等を医療機関向けに提供する事業。日本、及びアジアの医療機関向けに AI 診断支援ビジネスのプラットフォームを構築
(2)米Predii 社との業務提携(2020年3月)
- 膨大な機械修理・故 障データを独自のAI 技術で解析し、整備事業者や製造業者向けに「機械の故障予知・予防診断」や「迅速な 故障箇所の特定」等を行う AI プラットフォームを開発するP社との業務提携。
(3)自動走行バス事業(実証実験)(2019年12月)
- 中部国際空港制限区域内において、画像認識等のAI 技術を用いた航空機検知機能による世界初の誘導路横断の自動判断システムや、バスを遠隔で操作する 機能を検証。
(4)認知症診断技術の日本国内展開(2019年12月)
- カナダOptina 社が開発した Retinal Deep Phenotyping Platform の本邦への導入に向け、関係当局への承認申請プロセスのサポートや、認知症のオピニオンリーダーとの連携サポートを行なう。
(5)海上物流・海運市況の解析・予測(2019年10月)
- 川崎汽船、海上・港湾・航空技術研究所、広島大学らと協業し、予測困難な海運市況を精度、透明性高く判断することを可能にすることを目指す。
(6)医用画像診断システムの共同開発(2019年4月)
- 米Enlitic社の技術力と日コニカミノルタ社の持つ商品開発力を融合し、プライマリケアや検診をサポートするAIの開発を加速。プライマリケアの現場を支援。