石油ビジネス①概論編

仕事内容

どうも、ドチです🐱

今回からシリーズで、総合商社の手がける代表的なビジネスを数回にわたって説明します。

第一回は「石油ビジネス①概論編」について解説していきたいと思います⛽️

不毛地帯見たけど、入札案件で開発権を取って、当たるか当たらないか分からない石油鉱区を掘って、当たれば権益量に応じたリターンをもらえるビジネスでしょ?✈️

石油開発は、まさに「The 商社の仕事」って感じで、多くの方がイメージしやすい仕事ですが、あくまで開発は商社の石油ビジネスの一部でしかありません。

本記事でご紹介するのは、商社の石油ビジネスの全体像についてです(具体的に各業務に携わる社員のスケジュール等は②業務編で触れていきます)。

それでは見ていきましょう🚀

目次

  1. 石油バリューチェーン
  2. 上流・中流・下流での取組み

1. 石油バリューチェーン

商社が手がける石油ビジネスを理解する前に、まずは、石油が軽油やガソリン等の製品に変わり消費者に届けられるまでの一連の流れを以下に整理します🪔➡️⛽️

基本的には①を石油ビジネスの「上流」、②③を「中流」、④を「下流」と呼びます。原材料(石油)→製品(ガソリン等)を、川上→川下に例えてこの様に言われます。

冒頭部分で触れた通り、商社は①や②の石油の輸送/トレーディングだけに携わっていると思われる方も多いのですが、①〜④のチェーンに漏れなく携わり、各々のステージで付加価値を加えることで収益を生んでいます。

それぞれどんなことをするのか、具体的に見ていきましょう🔥

2. 上流・中流・下流での取組み

①入札・探鉱・開発・生産

まず、上流での事業を石油開発事業(=Exploration & Productionと言い、E&P等と略されたりします)。具体的には、

  • 入札:産油国の政府/公的機関が、最も有利な条件を示す企業/企業群へ鉱区の開発権を販売するために、複数の購入希望者に、入札金額や内容(後述)を書いた文書を提出させ、契約者を決めること(不毛地帯の近畿商事によるサルベスタン鉱区落札シーンでの竹野内豊の演技は圧巻でしたね✨)
  • 探鉱:地中の石油がどこにあるかを探す活動のこと
  • 開発:生産・貯蔵・出荷施設の設計や建設、パイプライン敷設、井戸の掘削等のこと
  • 生産:完成した設備の試運転を経て、生産開始!

入札時は、単に高い値を提示してくれるだけでなく、「我が国にどんな貢献をしてくれるのか?」等の付帯条件も重視されたりします。例えば、

👨「300万ドル + 🏥を建て、医療従事者を育成することで貴国の医療を発展させます」
🧔「良いやん✨」

みたいな(⬆️まあこれは極論ですよ💦)。

この辺で、何をすればその産油国にどういう恩恵を持たらすことが出来るか、その為にどういうプレーヤーを巻き込み一緒に入札してもらうか、等を考え、情熱を持ってチームをまとめ入札に勝つ、というのが入札案件の醍醐味ですね🔥

あれ!?でも商社ってそもそも探鉱だったり開発だったりを出来る様な技術系の人間を採用したりしてましたっけ?

まさにその通りで、基本的にどの商社も石油開発を専門に行なう子会社を持ってます(三井物産:三井物産石油開発(株)、伊藤忠:伊藤忠石油開発(株)等)。まあいくら新卒で入る総合職の人間に体育会系💪が多いからと言って、根性だけでは難しそうですね💦

また、もちろん、上記どのフェーズも自社1社で行なえる様なものでなく、例えば開発する石油が日本の国益にかなうのであれば、探鉱は🇯🇵の政府機関であるJOGMEC等に手伝ってもらったり、ということも多々あります。基本、やはりチーム戦なのです。

②輸送/トレーディング、タンクターミナル運営

元来、総合商社の石油ビジネスは「海外から石油を買い付け、安定して日本に供給する」ことでした。

ただ、バイヤーである石油元売(日本で言えば、JXTGエネルギー、出光昭和シェル、コスモ石油等)が自社で原油タンカーを持ち、直接、産油国と取引をする様になった為、商社が付加価値を出すことを見つけなければいけなかった訳です。

その為に、前述した上流での権益確保や、石油輸入時・製品輸出時の貯蔵(ターミナル運営)という様なアプローチで付加価値を出すことにより生き残ってきました。

また、日本の顧客に縛られず、世界レベルで変動する需給を見ながら三国間貿易(外国-外国間)で利ざやを稼ぐことも行なっています💰

③精製

輸送した石油を、石油製品に変換する場所が製油所です(根岸/神奈川や市原/千葉、水島/広島の方に住む方なら馴染み深い景色かと思います🏭)。簡単に「変換」の仕組みを説明すると、写真中央左寄りの「塔」みたいな設備に、原料である石油を投入し加熱🔥、沸点の違いで各製品を分けていくというものです。

これは、日本で言えば、JXTGエネルギー、出光昭和シェルやコスモ石油が所有する製油所でやってることでしょ!?商社も絡んでるの??

この③は、正確には絡んで「」というのが正しいですね。かつて、三井物産は子会社の三井石油経由で極東石油工業(千葉に製油所を持ち石油製品を製造)を傘下におさめ、石油精製業にも参画していたのですが、2013年に東燃ゼネラル(現JXTGエネルギー)に売却しています。

また、三菱商事も、2016年に出資先のPEファンド、One Rock Capital経由でハワイ(⁉️🌺🌴✨)にある製油所を保有する企業を米シェブロンより買収しましたが、結局、製油所は閉鎖し別事業の強化に注力していた様です(✨ハワイ✨で働ける機会を創る可能性があることは商社の醍醐味ですね‼️「住みたい国に駐在ポスト作ってやる」と意気込んで仕事をしている人ほど優秀な人が多い気がしますね✈️)。

④販売

精製された各石油製品(=LPガス、ナフサ、ガソリン、軽油、重油等)は、各々輸出されたり国内販売されたり、またナフサはプラスチック等の原料として石油化学プラント等へ販売されたりします。

やはり商社はこのカテゴリーでも絡んでいます。写真の様なガソリンスタンドの運営では、丸紅エネルギーや伊藤忠エネクス等の子会社が手掛けています。

また、原油だけでなく、石油製品についても、前述のシンガポール等に拠点を置く各商社のトレーディング子会社が需給を睨みながら売買を行ない利益を出しています💰

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いかがでしたでしょうか❓

次回は、上記説明した各フェーズの業務に携わる社員が、具体的にどういうスケジュールで仕事しているのか、また、昨今衰退していくと言われている石油業界の見通し等にフォーカスしてお話します。

何か質問がある方はお問い合わせフォームor Twitter🐦よりご連絡を❗️

最後に。

ガリガリ君はソーダより梨派です🐱

P.S. 以下の書籍は、商社希望の就活生、配属面談を前にキャリアを悩む内定者、商社のエネルギービジネスに興味を持つ社会人にとってオススメの本です。元三井物産で役員まで昇り詰め、評論家としてTVにも出演する寺島実郎氏のエネルギー関連Biz担当時のエピソードが盛り沢山です。是非ご一読を‼️