【総合商社】物流と事業投資、先に経験すべきなのはどっち?

仕事内容 総合商社

どうも、ドチです🐱

今回は、総合商社の代表的な仕事である物流と事業投資について、営業部門の新入社員として「先に経験すべきなのはどちらか?」というテーマで説明します。

先日、Twitter上で以下の様なツイートをしてみました。

記載の通り、私自身が考える結論は、「物流」をまず経験することをオススメします。その理由について、本記事では2つに絞って解説していきます。

もちろん、入社前の配属面談等で100%ご自身の希望が通るわけではないのですが、可能であれば、物流業務を希望する旨告げた方が良い、ということですね。

それでは早速見ていきましょう🚀(記事の長さ:ちょっと長め(4-5分程度))

目次

  1. 物流・事業投資各業務の概要
  2. 理由①:提案・実行の経験値
  3. 理由②:主体性の意識醸成

1. 物流・事業投資各業務の概要

さて、まずは物流と事業投資、それぞれがどういう業務なのかをなるべく簡潔に説明します。

物流とは?

物流とは、

「モノが生産されるところから需要のあるところへと運ぶ一連の流れの中で、商社として機能を発揮することで、生産者と需要家の間に仲介し儲ける商売」

ですね。

サプライヤー(生産者・売手)や、顧客(需要家・買手)のあらゆるニーズに応え、両者を結びつける仕事であり、売上規模や対象地域が小さい/狭い商品であれば、普通、総合職の担当者1 + 一般職のアシスタント1。それらが大きい/広い商品であれば、総合職の担当者2−3 + 一般職のアシスタント1-2といったところでしょうか。

詳細は過去の以下記事をご参照下さいませ‼️

事業投資とは?

事業投資とは、

「今後、需要が見込まれる様な製品/サービスを作る企業であったり、投資することで自社のビジネスが拡大する様なプロジェクト、にヒト・カネ・情報等のリソースを投入することで、将来的に初期投資額を上回る様なリターンを狙う商売」

です。

基本的には、①投資前業務、②投資後業務に分かれ、②はPMI/事業管理業務なんて言われたりもします。

①のフェーズで、営業部門のチームに一時的にコーポレート部門の各専門家が加入するプロジェクトチーム(どうでしょう、総合職5-10名とか?+一般職アシスタント1-2名?)なるものが組成され、投資決定を行ないます。

②では営業部門のチーム(総合職3-5)が本社で投資先の価値が上がる提案をしたり、投資先に本社から出向し、投資先の経営執行/営業活動に直接現場で携わることもあります。

こちらも、詳細は過去の以下記事をご参照下さいませ‼️

2. 提案・実行の経験値

ここからは、両者を比較し、若い頃に身につけるべき能力という観点で、物流を担当するべきメリットについて解説をしていきます💪

まずは、取引先への提案・実行の場数の多さです。

物流では、取引先の悩み・課題を解決する為に、自社(=商社)のリソースを比較的容易に割くことが出来ます。物流商売の実行可否判断は大体課長クラスで済ますことが出来るからです。

ですので、提案・実行する場がたくさんあり、それが失敗(想定より利益が出ない/損失を出す/関係を切られる等)しても成功(想定以上の利益を出す/長期契約を取れる等)しても、担当者に課題解決の経験値が溜まりやすい、ということです。

もっと具体的に言えば、例えば、サプライヤーが、

👴「ウチの商品を、未開の市場であるインドに売りたい!!」

と言ってきた場合、最悪、インドに売れず他の国に売り抜くことで被る損失(その商品単価や状況にもよりますが、せいぜい大きくても1-2億円とかのレベル感)であり、別途、市場リサーチ(担当者の出張や情報誌購読等)やらを足してもそのリスク額のケタが変わることはありません。

もちろん、損失を被らない様、実行判断前に、担当者が徹底的にリスクのありかと対処方法を考え、売手・買手と交渉→社内許可(=課長許可)取得と苦労はするのですが。

一方、事業投資の場合はどうでしょうか?

もちろん、一概に語ることは出来ないのですが、大筋、事業投資はこの様にはいきません🙅‍♀️

ほとんどの案件は、パートナー企業と一緒に多額のカネ・多くのヒトをプロジェクトにつぎ込み、現地国政府の許認可等の下に事業を行なうわけであり、投資を決める時も、また、投資後のちょっとしたプロジェクト改善提案にしても、社内は経営幹部の許可を要し、社外もまた幹部決裁が必要となるケースがほとんどです。

したがい、一担当者の立場からすれば、取引先/投資先の課題解決の経験サイクルがどうしても遅くなってしまいます(ある意味、事業投資部門にいる若手は「雑務が多い」と言われるゆえんですね💦)。

3. 主体性の意識醸成

違う観点からも見てみましょう👁

物流では、実は、契約成立した後からが本当の勝負です。

貨物船をチャーターする海上貿易業務を例に挙げますが、実際に出荷するタイミングでは、以下の様に色々な問題が発生します(ほんの一例です)。

  • サプライヤーが期日までに商品を準備出来ず、船が港で停泊し続ける(→チャーター料がドンドン増えていく)
  • 顧客に商品が渡る前に商品市況が急落し、価格再交渉を求められる(→売値が下がるかも知れず、損失が出るリスクが浮上)

この例で重要な点は、対船会社にせよ、対顧客(=需要家)にせよ、速やかに何とかしなければ、ドンドン利益が減る/損失が増えるという状況になる、ということです。

担当者としては、一刻も早く解決しようと知恵を絞り、考えた案を説明し上司の判断を仰ぐべきですが、上司も出張中で捕まらない/でも捕まるまで待ってたら損が増えていく、でも自分に決裁権は無い、という様な修羅場に陥ったりします。

そういう時間制限があり、他に誰も事態を知らないという緊迫状態の中で、何とかすべく試行錯誤し、失敗と学びを繰り返すと、「今この状況を打開出来るのは自分しかいない」という主体性が徐々に醸成されていくのです。

一方、事業投資の場合はどうでしょうか?

基本的に、本社で事業管理をする社員は、現場で何が起こっているかということをタイムリーに把握出来ず、また、それを解決する為に現地のスタッフへ指示を送るなんてことは出来ません🙅‍♀️

したがい、物流に比べて、緊急対応を求められるケースに直面する機会は少ないですし、チームでやっている状況下、否が応でも主体性を求められることも若手の内は多くありません。

では、現地へ出向する社員はどうか?まさにこういうオペレーションに対処することが仕事であり、前述の物流でのトラブルの様なものは日々対処しています。ですが、基本的に、新入社員という何の信用も無い社員が本社を代表して出向することはあり得ません。加えて、もし若くして出向した場合でも、出向先の企業としては、

👨「オペレーション能力に長けた、A社を代表する社員が来てくれてるんですよね?」

という目で常に見られており、決して本社社員の育成の場として扱われるわけではありません🙅‍♂️ミスがあれば出向契約を切られるリスクだってあるわけです。

したがい、この場合でも、一担当者のミスにより会社に致命的な損失を与えるわけではない本社の物流部門でのオペレーションの仕事をまず経験しておく、ということが最重要と言えます。

尚、事業管理はチームでやるにせよ、ほとんどの仕事は「出来る社員」に集まるものです。そういう社員は総じて主体性を身につけており、一旦、業務内容に慣れれば、物流とやってることは違くとも、主体性を持つ社員が中核となっていくわけです。

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いかがでしたでしょうか❓まあ、同業者の方からすれば賛否両論あると思います。もし異論をお持ちの方で、ご意見を頂ける方がいれば非常にありがたいです🙇‍♂️

最後に。

明日(既に「今日」か💦)からまた1週間頑張っていきまっしょい🐱✨