【総合商社】猫でも分かる商社の事業投資解説!エクアドルでのバナナ生産事業③

仕事内容 総合商社

どうも、ドチです🐱

今回も、前回に引き続き、「総合商社の事業投資とは?」について、具体的なフィクションの案件例を挙げ分かりやすく説明する記事の続編です✍️

本シリーズ、前々回からスタートしております。

今回は続編の記事なんで、前回記事をご覧になってない方にはなるべく⬆️をまず見て頂きたいですが、例によって

👱‍♀️「いや、そんな時間マジないから🖐」

というお忙しい方の為に(🐱😢)、簡単に以下の通り、前回のあらすじをご紹介しますね👇

  • B商事の食料本部青果事業部バナナ事業課に務めるAさん(👱‍♂️)は、日本の大手小売業者のC社のD課長(👴)と共に、高級バナナ生産&パッキング事業投資案件のプロジェクトの現場となるエクアドルを訪問。
  • 農園&パッキング工場視察、地元政府訪問で、プロジェクトを推進する上でのリスク/課題が次々と見つかり、それらを持ち帰って2人は帰国。
  • 今回の話は、B商事とC社が、リスク/課題をどうコントロールしていくかを協議する場面から始まる。

です。

尚、本記事も、主に内定者&就活生、そして他業種の若手ビジネスマンの方々向けって感じです(若手商社マンには少し物足りないかもしれません)

ただ、引き続き、同業者の皆さんからも率直なご意見を頂けるととてつもなく嬉しいです🐱✨

それでは早速見ていきましょう🚀(記事の長さ:少し長い(3−4分程度🙇‍♂️))

尚、本記事に出てくるイベント/数字は基本フィクションです🖐

目次

  1. 課題整理と対応策立案
  2. 事業投資名物!現地パートナーの後出しジャンケン!
  3. 苦難の末に・・・

1. 課題整理と対応策立案

帰国し、早速、社内での報告会。

  • 現地パートナーの生産能力地元政府との強固な関係性
  • C社という本邦最大需要家が販売先となり、かつ共同出資者となること
  • B商事の既存のバナナ物流業務とのシナジー発揮
  • 何より、他商社に先駆けた、高級バナナの今後のアジア圏での大きな需要の取り込みが見込めること

以上を鑑み、青果事業部として、本件を真剣に進めていく方針を固めることとなった。

👱‍♂️(さあ、忙しくなるぞ💦

早速、社内稟議対応を見すえ、プロジェクトメンバーが組織された。課の後輩のH(👱‍♀️)、物流課と兼務になった新規プロジェクトメンバーのI(👦💦)と一緒に資料作成→社内打合せアポ取りと動いた。

関係コーポレート部署の担当者に案件の説明をしなければ。その上で主な協議事項(=アドバイスをもらう点の一例)は、各部署以下の通りだ。

  • 経理部→エクアドル国内での優遇税制有無(外資による投資案件への税金支払優遇はない?)、会計ルール(どうやって決算書作る?)等
  • 財務部→プロジェクトの資金調達方法(どうやってお金集める?)、パートナーE社の財務分析(E社と付き合って中長期的に大丈夫そう?)
  • リスクマネジメント部→同国のカントリーリスク対策(いきなり政情変わってプロジェクトが国有化されるとかない!?)、製品の価格変動リスクのヘッジ方法(高級バナナの価格が世界的に暴落したらどう損失を回避する?)
  • 法務部→株主3社間で結ぶ契約書文言(プロジェクトが上手くいかなかった場合に、B商事が少しでも有利に撤退する為には?)等

また、現地視察を通じて発見した、以下リスクへの対応につき、C社との度重なる協議を行なった。

👱‍♂️「まず、主要な課題を整理しましょうか」
  1. F社長推薦の現地開墾業者を起用した際のプロジェクト遅延の懸念
  2. 農園→パッキング工場の輸送中の山賊被害による出荷量減のリスク
  3. 新税制による税金支払増→プロジェクト採算悪化の懸念
👱‍♂️「1.については、弊社の農業関連部署の、隣国ペルーでの農業案件を通じ、優良な業者の起用経験がありまして、ウチが得意先ということもあり、コストもエクアドルの地元業者並みでやれる可能性が出てきました。現在、見積もり取得中です」
👴「素晴らしいですね。やはり総合商社の御社はネットワークが広い!」
👱‍♂️「2.はどうしましょうか?」
👴「エクアドルのセキュリティ会社を起用出来ないかな?奪われるバナナが生み出す利益と、セキュリティガードを雇うコストを天秤にかける必要があるけど・・」
👱‍♂️「現地にすぐに確認させます。3.ですが、、現地事務所&経理部税務チームにも確認しましたが、、2-3年後とはならいまでも、少し遅れてでも必ず新税制案が通る可能性は高い様です。同国の弱い財政状況を考えると、、残念ながら。」
👴「そうかい。。うーん」
👱‍♂️「この税金負担増の影響で、プロジェクトのキャッシュフローが悪化する見込みでして、、プロジェクトの採算考えると、御社向け販売価格のディスカウント幅を削ってもらうしか・・」
👴「・・・参ったなぁ。。」

2. 名物!現地パートナーの後出しジャンケン!

プロジェクトのC社向け販売のディスカウントにつき、D課長がC社内で頑張って説得を試みるも、やはり無条件に受け入れてくるはずもなく、新たな条件を突きつけられる結果となった。

👴「A君、プロジェクトの採算改善の為に、当社のディスカウント幅は半分に削減します。」
👱‍♂️「本当ですか!?ありがとうございます。」
👴「ただし、条件がある。ウチの購入オプションを、5-7→5-8まで比率を上げてほしい。でなければ削減は出来ない。」
👱‍♂️「え、、弊社の取扱量が減る可能性があるのですか!?それでは弊社の利益が小さ過ぎて、弊社内の稟議が通らないです。。」

加えて、B商事としては、既に米国・中国・メキシコの顧客に、最低でも合計3割は販売する旨、既に大筋合意済であった為、B商事の取扱量を減らすことは出来ない。

C社も絶対譲れない様子である為、C社の利益確保に向け、B商事は船会社と鬼交渉をすることに👹結果、エクアドル極東の運賃を下げることに成功し、結果的に、C社は元の想定価格とほぼ同じ価格で買えることに!!

👴👱‍♂️「よぉ〜し!!少しずつ目処が立ってきた!!」

・・だが、いつの時代もプロジェクトはそんなに簡単にはいかないものなのだ。

2人がそう思ってた矢先のことである。その晩、23時頃まで残業し、さて帰ろうかと身支度を整えていたAさんに、現地時間9時のエクアドルから一本の電話が。。

🕺Hola~アミーゴ!プロジェクトの製品、2割はウチが国内で販売させてくれない??」

3. 苦難の末に・・・

なんてこった・・。せっかくC社との交渉で合意に至ったのに。。超スーパー後出しジャンケンやん。。現地では、あれ程、販売先は日系2社が牛耳るコンセプトである旨説明したし、E社にとっても、アジア圏は新規マーケットになる為、寧ろ喜んでいたのに・・🙌

おそらく、、国内でも増えつつある富裕層へ、長年、F社長自身でアクセスしてきており、昨今になって売れる見通しがついたのだろう。。

👱‍♂️(どうするか、、現地強力なパートナーの意向は絶対に無視出来ない・・・。)

翌朝、早速、C社を訪問しその旨報告。D課長は怒り心頭だ。

👴「なんで今更!!A君、本当に彼らは信用できるのか!?💢どう社内で説明すれば・・」
👱‍♂️「やはり途上国相手のプロジェクトですから、、一筋縄では行かないですね。最悪、御社の購入権を0.5割減らしてしまうことをお認め頂き、交渉をお任せ頂けますか。」

そういって、AさんはF社長と交渉。まずは完全拒否するも、案の定、F社長は認めてもらわねばプロジェクトから降りると言及。そこで、以下、Aさん-F社長間で交渉が行われた。

👱‍♂️「2割(=20%)は絶対不可。コンセプトから覆る。1割(=10%)なら譲歩する」
🕺「・・あと少し上乗せして🙇‍♂️」
👱‍♂️「C社販売状況に併せ、5%上乗せ可とするが、、では交換条件として、開墾業者の選定はこちらが選ぶ権利を有することを認めて頂きたい
🕺「・・うぅ、、。わかった」

交渉の結果、以下がプロジェクトの製品販売ポートフォリオ(=販売先)となった。

  • C社向け/日本→45-65%(C社の販売状況に応じて、65%まで買取可能)
  • B商事向け/米・中・メキシコ→25-40%
  • E社向け/エクアドル国内→10-15%

さらに、開墾業者も、目論見通り、B商事の得意先のペルーの業者を起用することで決定!①プロジェクト遅延を防ぐだけでなく、②マージンがB商事に入る仕組みとし、ピンチをチャンスに変えることに成功した👱‍♂️✨

話戻り、セキュリティコンサルからの見積もりを基に、プロジェクトの採算をシミュレーションした結果、農園→工場の製品は輸送中にセキュリティガードをつけることで山賊リスクを排除することも決定した。

ついに!!リスクも押さえ、プロジェクトの推進条件についてもパートナー間で大筋合意に至った。。

次はいよいよ稟議だ🔥

~To be continued~

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いかがでしたでしょうか❓フィクションですけど&もちろん、現実はもっと無数の壁が立ちはだかるんですけど、ストーリー自体は結構リアルだと思いますよ!!とにかく、今回も「分かりやすさ」を最重視です。悪しからず🙇‍♂️💦

次回の続編は、「B商事内での壮絶な稟議対応と投資決定の話🔥」になります。お楽しみに!!(5話完結です・・長い〜💦)

一応、、「事業投資とは?」の概要論を書いた記事もご参考まで⬇️

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最後に。

明日からまた頑張っていきましょう!!🐱✨

P.S.

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