電力ビジネス①概論編
どうも、ドチです🐱
シリーズで解説する、総合商社の手がける代表的なビジネス紹介記事です。
今回は、第五回「電力ビジネス」の①概論編について説明します✨
業界研究してるんだけど、「商社 電力」で検索しても、IPPとかPPSとかPPAとかPTAとか訳分かんない略語が出てきて混乱するんだけど・・・
まあPTAはギャグとして(💦)、確かに略語が多くて混乱しますよね。また、一つひとつの単語の意味を調べてもシックリ来なかったり、理解出来たとしても、どういう流れで商社が電力ビジネス!?を手掛けることになったのか、経緯が気になりますよね。
本日はそんな商社の電力ビジネスについてなるべく分かりやすく解説します。
目次
- 納入業者から電力生産者へ!
- 電力業界で強い商社は?
- 将来の業界の見通しは?
1. 納入業者から電力生産者へ!
IPPって何?
IPPとはIndependent Power Producerの略であり、Wikipediaによれば定義は以下の通りです。
独立系発電事業者は公益事業に分類されない、売電のための発電設備を保有している事業者のこと。非電気事業者とも呼ばれる。非電気事業者は小口のエネルギー生産者など私有の施設、企業、共同体で、エネルギー産業上の懸念がなく、電力系統に余剰なエネルギーを供給する企業である。
Wikipedia
もっとシンプルに言えば、「設備を持ち、発電をして生み出す電力を販売する事業者」と言えるでしょう。
各商社は最初からIPP事業をやってたの?
他の取扱商品と同様、商社は元々、電力プラントへの設備・部品(鋼板やパイプ等)、原料(石炭や天然ガス)等を、供給者から買って電力会社へ販売する、という物流業務のみに携わってお金を稼いでいました。当初はただの納入業者でしかありませんでした🙏
ただ、メーカーが商社を通さず直接海外と取引する様になり、機能が無くなってしまった商社は、生き残りを賭け、リスクを取って徐々に上流の生産活動に活躍の場を拡大していきました。
ただし、最初からIPPに参入した訳ではありません。まずは、エンジニアリング会社(=プラントの設計・資機材調達・システム構築/運用・工事等、プラントが稼働するまでの工程を担う企業)と組んで、建設を請け負うことから始めました。結果、徐々に役割が高度化していき、対設備メーカーの「顧客」となることで、交渉力が強まってきました。
この様な建設請負業は、一度プラントが立ち上がれば、メンテナンス等以外、基本的には単発で終わってしまうので、やはりまだ安定収入が見込めません。そこで、更にリスクを取り、発電事業会社となり現在に至る訳です。
発電事業会社の顧客は?
多種多様です。プラント所在国の国営電力会社の様な会社に長期にわたって供給する様な形もあれば、電力の需給によって価格が変動する卸売り市場に売っている形態もあります(ちなみに、冒頭に紹介したPPA(=Power Purchase Agreement)は電力販売契約と言います)。
➡️上記の通り、これまでの歴史の中で、畑違いな業種にドンドン挑戦していき、「やってみたら何となく出来ちゃった!」どころか、納入業者時代から物流→建設→発電と知見を拡大してきた経緯から、商社の強みを生かして他の電力会社に引けを取らないポジションを取ることに成功したと言えるでしょう✨
2. 電力業界で強い商社は?
ズバリ、丸紅と三井物産です。発電能力持分(*)および事業範囲から2強と言っても過言ではなさそうです。両者の代表的な事業を以下にご紹介します👇
①丸紅:発電能力持分業界圧倒的No.1✨
- スールガス焚き火力発電所/オマーン🇴🇲:同国最大規模の発電事業。ガス火力発電⚡️電力販売先のオマーン電力水道会社(OPWP)と15年間の長期売電契約を結び、プラント操業・運転、売電を行なう。
- 地域密着型電源事業/タンザニア🇹🇿:総人口の約76%が未電化である同国で、太陽光パネル/充電式ランタンによる地域電化事業を進めるWASSHA社への出資参画し、未電化地域で事業を推進
- Smart Energy社/英国🇬🇧:2001年に設立。再生可能エネルギー電源を中心とした同国電力市場での卸調達・小売事業を展開(発電事業では無い。中小発電事業者より買い集め、小売する業態)。
②三井物産:北中南米/アジア&豪/中東での電力量が約30%ずつのバランス良いポートフォリオ🔥
- パイトン石炭火力発電所/インドネシア🇮🇩:約25年にわたり主要株主として、1億4,000万人が暮らすジャワ島の10%程度の電力需要を満たし、国の発展を支え続ける大型プロジェクト。
- ヨルダンIPP事業群/ヨルダン🇯🇴:ガス(2009年-)、ディーゼルエンジン火力(2014年-)、太陽光(2019年-)の3つのプロジェクトで、合計約700MW(メガワット)=同国総発電容量の18%!のプロジェクト。
- 分散型太陽光発電事業/インド🇮🇳:有力財閥のマヒンドラグループとの共同事業。一般的な同国の石炭火力発電と比較し、CO2排出量を2万トン/年程削減できる見込み。
(*)(発電能力持分) = (世界中で出資する全てのIPP事業者の合計発電能力) x (各出資先における出資比率) 尚、2019年3月末時点で、丸紅は12.0GW(ギガワット)、三井物産は10.4GW。各社HPより。
3. 将来の業界の見通しは?
(既に開始したプロジェクトもありますが、)今後の業界のキーワードは、やはり①分散型発電、②電源の脱炭素化、と言えるでしょう。もちろん、発電能力の大きさも大事ですが、太陽光パネルや蓄電池の価格も下落してきたことも追い風となり、世の中の潮流/ニーズに適う中長期的なプロジェクトが中心となり、世界中で仕掛けられていくことが予想されます。
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いかがでしたでしょうか❓
次回は、電力ビジネスに携わる社員が、具体的にどういうスケジュールでどういう仕事をしているのかにフォーカスしてお話します。
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最後に。
売電、、ぢゃなくてバイデン氏が、🇺🇸民主党大統領候補指名を受諾しましたね🐱✨